追跡あり インバーター 車の電源 LCDディスプレイ トランス 特別訳あり特価 コンバータ 出力AC110V 連続出力4000W 【日本未発売】 入力DC12V 瞬間最大8000W 赤

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1999円

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商品説明
インバーター 車の電源 LCDディスプレイ トランス コンバータ 連続出力4000W 瞬間最大8000W 入力DC12V 出力AC110V 赤

4000Wソーラーカー電源インバーターLED DC12 / 24VからAC110 / 220V修正正弦波コンバーター4 USBインターフェイス

特徴:
デジタル表示、DC入力、AC出力付き。
短絡、過負荷、過熱、低電圧、過電圧を内蔵した保護。デバイスと車を安全に保ちます。
寿命を延ばし安全に使用するための内蔵冷却ファン。
スマートサイズ、軽量で互換性があり、低騒音で無公害。

原理:
このインバーターは、DCをACに変更するために使用されます。
アプリケーション:ミニ電動グラインダー、ミニ電動工具、ミニ縫製ハインズ、DVD、VCD、VCRS、ファン、照明など。

仕様:
色:赤
素材:アルミニウム合金
ピーク電力:4000W
連続電力:1000W
デジタル表示:入力/出力電圧
入力電圧:DC 12V / 24V
出力電圧:110VAC / 220VAC / 50Hz±3Hz
USB出力:5VDC-2.1A / 1A / 2.4A / 1A(4USBインターフェース)
プラグ:ユニバーサルプラグx3
無負荷電流:
変換効率:85%
出力波形:修正正弦波
保護機能:過負荷、過熱 、高電圧、低電圧、逆接続および短絡、インテリジェント温度制御、4USB出力インターフェイス、ユニバーサルGBプラグ、ダブルスクリーン、小型電力機器(誘導負荷電気機器およびモーター製品を除く)に使用できます。
適用範囲:家庭用電化製品など
低電圧アラーム:DC10.5V±0.3V(12V)、DC21V±0.5V(24V)
低電圧シャットダウン:DC10V±0.3V(12V); DC20.3V±0.5V(24V)
過電圧シャットダウン:DC15V±1V(12V); DC30V±2V(24V)

パッケージ:
1×ソーラーカーパワーインバータ
1xのケーブルの付いたクランプ
1×車の充電器
1×ユーザーマニュアル

こちらの商品は「12V 出力AC110V」


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2022年3月16日水曜日

ネビュラ賞中短編梗概集

ネビュラ賞中短編梗概集

機械で患者と神経接続し、患者に加工した夢を見せて治療するシェイパーの医者が、自分もシェイパーになりたいという盲目の美人女医のセッションをし、視覚イメージを見せているうちに、不倫の恋人が邪魔に入って三角関係になり、盲目女医の強力な夢に呑み込まれてシェイパーの矜持を失い、発狂する。
宇宙の透明エイリアンが19世紀英国田舎農園に着陸し、人間含む動物たちにたくさんの子を産ませて食料にし、農園主夫人や豚や犬たちが食われ、農園主も洗脳されるが、やがて火事で農園家屋が焼けてエイリアンは去ってゆき、若者は娘と結婚して連れ出し、ウェルズに経験をすべて話す。
金星の巨大海獣イッキー捕獲に熱中し過ぎてただの餌付け人になった釣りマニアの女たらしが、元恋人の女富豪の船に雇われて彼女にイッキーを捕獲させ、結婚する。
遅刻すると寿命を削られる管理社会で時間観念のない男がいたずらで遅刻を引き起こし逮捕され矯正されるが、管理者自身が影響されて遅刻し始める。
奴隷エイリアンを使って貴族生活を送る人類が奴隷種族に反乱を起こされ、城を奪われ、兵糧攻めで何とか降伏させるも、故郷へ送り返すことになり貴族生活は終わる。
皇太子が皇帝になるための最終試験を依頼された地球人が皇太子と旅するが、皇太子が酒場でウェイトレスにちょっかいを出し若者とトラブルになって銃を抜き逃げだしたため、「臆病者で皇帝の器でない」と判断し処刑する。
地質を読み取りおとぎ話を作る天才だった兄がウランと黄金を発見して死に、そのおとぎ話の世界に閉じ込められたままの娘が、鉱脈の調査に派遣された若者とともにその世界を旅し、危機から救い出されることによってトラウマを克服し、若者と結婚する。
弱い心を補うためメシアに依存する青年がタイムマシンで過去へ行き、木偶の坊のイエスを見てショックを受け自ら歴史通りのイエスを演じて情けなく死ぬ。
中年男が骸骨とギャンブルして負け、大暴れして逃げだし、妻の魔法のせいだと家出する。
去勢され性別をなくした宇宙飛行士たちがフレルク(去勢者マニアの変態性欲者)を地上であさりながら、宇宙と地球を無間地獄のように行き来するだけの人生を強いられる。
フラルとレサは赤の星接近による糸胞災害対処のため、竜の子を多数孵し、竜の時間移動能力を使って過去の南の大陸に多数の竜と騎士を送り込んで竜を育て、全大陸の城塞太守に防災対策と竜騎士の育成を指示し、400年前の糸胞対策を終えたばかりの大巌洞統領たちを現代に導く。
世界が滅亡し、生き残ったインテリ男が、痴呆女と葛藤の末結婚して息子と娘を生ませ、息子には近親相姦で家族を維持しろと教える。
猿知性化実験を行う心理学者が低能児のsRNAを囚人に注入するなどの反倫理的実験を行ったりするうちに、妻やマスコミに批判され、ストレスでおかしくなって幻覚を見るようになり、研究のモラルの低さが内面にもフィードバックされ、女学生と不倫をし、助手と結婚させて厄介払いしようと考えるなどモラルもさらに低下していく。
第三次世界大戦後の荒廃した地上を知性犬と彷徨いながら強姦する女を探す少年が、地底都市から来た女を強姦し、追いかけていくが、実は男の子が生まれなくなった地下都市の住民が子種を求めて地上の男を捕獲するための罠で、捕まった少年は順応するふりをして住民を騙したうえ、少女とともに住民を殺戮し地上に脱出した後、飢えている犬を救うため少女を殺して食わせ、地上都市で暴力団に目をつけられたため、別の都市を探す。
孤児院出身の盗賊が特別課刑事から「鷹とヘリに気をつけろ」とホログラム予言による忠告を受け、盗品をマフィアの大物ザ・ホークに売ろうとしてヘリ部隊の手入れを受け何とか切り抜けて、儲けた金でトライトンのアイスクリームチェーンに投資し安定収入を得て、目下順風満帆である。
憑き物と呼ばれる精神寄生体が蔓延し取りつかれると自由意志を奪われ体を操られるようになった世界で、憑き物に操られ女と寝た男が自由になった後、その女を口説き、ようやく成功した瞬間、憑き物につかれ、別の男とのホモを強要される。
追剥二人が愛人に頼まれ盗賊結社に潜入するも、魔術で愛人を殺され、激怒して結社を滅ぼし町を去る。
電気技師が乳癌恐怖症の女を治療するとともに自分の人間嫌いも治って女と仲良くなる。
断種法に不満を持つ自由人の少年ギャングが技師を誘拐し、その知識を使って海底ドーム都市を爆破、爆破技術を当局に売りつけようとするが、テレパス警官が上司とともに技師を追いかけ、その精神を探知し救出、自らはギャングに捕まるも、上司に救出される。
人類が植民した惑星で、女生物学者の息子が現地生物に誘拐・洗脳され心理的原型生物になり切ってしまうが、テレパシーを遮断する装置を使って探偵に救出され、リハビリする。
ロボットがローマ法王に選出され、就任式でロケット発射し、空へ飛んだ。
惑星探検家が木星有人探査でマンタやクラゲに似た生物を発見して生還し、更なる探査のため機械人になる。
機械が管理する都市で一人の男が神同然のコンピュータ人格に死んだ恋人の再生を陳情するも、「振り返るな」という試験に失敗し恋人を失ったことで逆切れし、機械神を滅ぼし野性を取り戻せという宗教を興し革命を始める。
疫病で男が死に絶え女だけで生殖する楽園ホワイルアウェイに住む女性夫婦と娘たちが、宇宙船で戻って来た男たちと話すが、一方的に嘘くさい「男女平等の進歩主義的な社会観」を押し付けられ意志疎通できず、男たちに楽園を破壊される暗澹たる未来を予感しおびえる。
木星系の衛星内部に設置された、精神科医の人工知能が管理する島で、女性恐怖の殺人鬼天才青年を癒すために自殺願望の娘を殺害させ、それを脳梁切断した少年の反抗的な右脳人格に見せて緊張病で発狂させ、温和な左脳人格を救いだす。
3匹の蛇を使って病人を治療する女が、少年を治療するが、恐怖に駆られた村人に夢を与える1匹の蛇を殺されて怒り、立ち去る。
冬になると黒いオスが赤いメスを洞窟で保護しながら育て、巨大化した雌が雄を食って母として金色の子を産み、子が黒と赤に分かれると赤を追い払って黒を食い殺し、生き残った黒だけを逃がすという生態の生物に生まれた雄が、雌を育てて食われる。
蘇生死者の妻を取り戻そうと追いかけた男が、蘇生死者たちに殺されて蘇生され、妻への興味を失う。
恒星が生命であると信じ、慈悲ある恒星を探しにやってきたエイリアンが、地球人科学者と一緒に太陽と交信するが、地球の太陽も邪悪だとわかったため去っていく。
夫の遺志を継ぎオドー主義と呼ばれる無政府主義の主唱者となって革命の後ろ盾となった女流思想家ライア・オドーが、脳卒中に倒れ老境に入りてなお演説の日々を送り、来し方を回顧しながら、世界を変えつつある自らの思想がもはや自分のものでないような感覚を覚え、老いを切々と感じ受け入れる。
宇宙探査ロボットのハングマンが地球に勝手に帰還し開発者を殺して回っていると思いきや、最初に死んだ男は別の犯人の仕業、次に死んだ二人も遠隔操作用ヘルメットを盗んだ男(心理学者の患者)の仕業で、ハングマンはアイデンティティに悩み自分探し中、別れを告げるために親に当たる開発者を訪ねていただけだった。
美少年に惚れた美熟女の魔女が若返り魔術に失敗し家ごと燃えて消える。
ヘリウム飛行船が普及し第二次世界大戦の起らなかった世界で飛行船協会のドイツ人がニューヨークの息子から尖点理論を聞き、飛行船が爆発して第2次大戦が起こった世界のヒトラーになってからフリッツ・ライバーになる。
宇宙探検から地球に帰ってみれば疫病で男性が死に絶え女性だけの社会になっていて、男性隊員たちは珍獣として隔離保護されることになる。
ロボットが人間になろうとして死を選ぶ。
孤独な孤児の少年がアンドロイドの両親を買い、自分がアンドロイドのふりをして観光地に行き人々を試すが、アンドロイド恐怖症の群衆に殺される。
無重力ダンサーが蜂に似た集団ダンスエイリアンを自分のダンスで脅して撃退し、地球侵略を食い止めて自爆死する。
地球に入植をもくろむエイリアンが人類を蠅のように操って男に女を殺させる。
5歳から年を取らない友人は過去のラジオを聴き過去の雑誌を読んでいたが、うっかり外に連れ出して現在を見せたらショックを受け、悪ガキに殴られ、家で母親に見殺しにされてしまった。
聾唖者たちが身体言語を発達させて集合知性体的なコミューンを作り、大人たちは「***」して楽園へ去り、残った子供たちは視聴覚を失い、語り手とともに幸せに暮らす。
奇を衒った演出で魂が抜け、客の入らなくなった演劇業界でくすぶる俳優が、失敗公演の脚本家たちを次々と襲う殺人未遂事件を起こし逃亡、望む仕事は見つからず、エージェントに切られた先輩俳優と諍いを起こしその恋人女優を奪ったことから逆恨みされて殺人未遂事件の容疑者として密告され、月劇団の公演観劇の際に警官隊が来たため女優とともに逃亡、田舎で劇団を立ち上げてやっと自分の求める演劇の仕事を見出し、徐々に劇団を大きくして評判を呼び、ついには都市への出入り禁止を条件に殺人未遂事件の恩赦を得る。
自殺願望のある歌手が自分に恋するスティムコンソール技師に依頼して大規模ライブで聴衆の感情をフィードバックするコンソールのボリュームを最大にしてもらい焼死する。
ドラコ人と交戦中の男が惑星でドラコ人兵士と取り残されて友人になり、そのドラコ人の死後、子供を育て、救助後、友人の実家に行くと子供が戻っていないことが分かり、調査の結果、地球人びいきを矯正する施設に入っていたのでやめさせ、洞窟暮らしをしながら友人の子孫に補給物資をもらう。
変なペットを好む富豪がサンドキングズという集合意識生物を購入し友人に自慢するが、昔の彼女が巣箱を壊して倒れサンドキングズに食われたのをきっかけに、サンドキングズが次第に凶悪・成長し、次々と友人を食べ、退治しようという試みも失敗、売り主から逃げろと言われるも逃亡失敗、サンドキングズの家に運び込まれるとすべてのサンドキングズが富豪の顔になっていた。
狂暴蟻の侵入を食い止めるためウイルスで巨大化させ殺す研究をする学者が、蜂駆除の殺虫剤で家族を殺され国を恨む女記者のハニートラップにかかって情報をもらしたあげく死ぬ。
自らも精神的問題を抱える女性精神科医が、吸血鬼に精神分析を依頼され、セッションを重ねるうちに相手の話を信じ始め、かつ、性的にも惹かれていくが、吸血鬼は自分が大学に再就職する上での証明書を手に入れるのだけが目的で、別の大学に行くことに決めるや女医に紹介状を強要、カルテを廃棄させ、口封じに殺すことをほのめかし、女医は吸血鬼を説得の上セックスして命拾いし、トラウマを乗り越えて自信をつける。
ドードーを絶滅後に飼っている人がいたと聞いた学生がその人に会いにいき、農園主から譲り受けて家で飼っていたと聞き、その後の事情を知るマダガスカルの姉に会いに行った結果、送別会で料理されて食べられていたことが写真付きで判明する。
スペイン洞窟壁画の発掘で雇ったバスク人助手は2万歳以上の年を取らないクロマニョン人だった。
土星探検宇宙船の乗員がRPG中毒、メインの男女はそのせいで不倫中、ヤペトゥスに着陸し船外任務中もゲームのせいでキャラになりきり、大胆になってしまい、その結果、地盤が崩れてクレーターに落ちてしまい一人が負傷、絶体絶命の危機に陥るが、ゲームの力でその危機も何とか脱する。
ある朝目覚めると全人類がバラバラな場所で目覚め、多くの人が死んだり狂ったりし、スペインに飛ばされた米国人は米国の飛び地から飛行機で帰国しようとするが、飛行機に乗ろうとする人たちが銃殺されるのを見て嫌気がさし、その飛行機が爆発するのを見て帰国を取りやめ、スペインの町に戻って新言語を覚え、モンゴル人女と番い、協力してキリスト教会やコロンブスの墓を取り壊し、西洋文明の破壊に尽力する。
永遠の恋愛しかありえない星の女と結婚した後に女を捨てた男が、女に近づきよりを戻そうとするが、女は男が死んだのでその骨を笛にしたと主張し、男の存在を無視し、その体を通り抜けてしまう。
先物取引会社の男が白鯨の世界と行き来するうちに白鯨の世界が現実になり、エイハブの暴走を止めようと試みるものの失敗、元のストーリーを離れてその世界が先の読めない現実の世界となってしまう。
航時史学部生バーソロミューが歴史の現地実習でロンドン大空襲時のセントポール大聖堂の警備員として潜入し、先輩警備員と互いにスパイではないかと疑いあいながら空襲を受け、多くの人の死を見たあと、指導教授の形式的な試験問題を見て激怒し殴るが、それによって逆に優の成績をもらう。
核戦争で郵便が滞った山間地で、孤立して住む一家の女が郵便局で不達になっていた知人からの手紙を見つけて持ち帰ったが、おそらくその一家は核爆発か暴漢に襲われたかでもうこの世にいないだろう。
セネクシが改造人類と戦って捕虜をとり、人類のデータベースにつないで過去の記憶を調べると、女戦士と恋人が身体改造による戦争の不毛さを悟りデータベースを作った記憶が何度も反復されていることが分かり、人類に汚染されたセネクシは滅び、人類のデータベースも記録が消え、宇宙は衰退する。
血球を知性化した人が血球に乗っ取られ、そいつを殺した人も感染し、知性化した血球たちに支配され、他人と融合しながら進化し、巨大な怪物になる。
温暖化による低地水没で両親を失った少年が、勢力を増す教団の信者になって強制労働に従事したあげく、海への生贄として殺される。
朝鮮戦争後遺症の老人が電話で呼ばれ隣家に行くと隣人が死んでおりパソコンに彼を相続人にする遺書があったため事件に巻き込まれ、パソコンの調査に雇われたパソコンに詳しいベトナム人女と恋仲になり調査に協力するが、この女もネット上の怪しいデータを見つけた後、焦ってデータを破壊するが電子レンジで頭を茹でて自殺、担当刑事もパソコン画面を見たあと自殺、老人はネット上の正体不明の怪物を恐れて、パソコンのみならずあらゆる電化製品を破壊し、水道管すら疑う電子恐怖症になる。
トゥリックの保護区に住みトゥリックをホームステイさせ卵をもらって暮らす一家の少年が、トゥリックの幼虫を産み付けられて死にかけた男の「出産」を見てショックを受け、自殺を考えるが、思いとどまり、自分がトゥリックの幼虫を植え付けられる「ヌトゥリック」になる。
戦争により朝に子供に戻り成長して夕方に老人になるサイクルを毎日繰り返すようになった逃亡兵の父親を息子が介抱しながら、戦後の焼け野原で野営の逃亡生活を続ける。
50世紀の復元都市のために作られた高性能で不死の人造人間(訪問者)である20世紀人の男が、年を取るショートタイマーの女と恋をするが、逃げられ、追いかけるうちに、自分の正体を知り、女をつかまえて訪問者になるよう説得し、一緒にビザンチウムに行く。
娘のレイプをネタにベストセラーを書いた作家が娘から次々と主人公の絵を送りつけられ、毎晩実体化した主人公たちと会ううちに、妻と娘への冷たい仕打ちを糾弾され、ついにはレイプ小説の主人公が娘と入れ替わり、娘との関係そのものが消え去ってしまう。
エイリアンが地球にやってくるが排外的な地球人に迷惑がられ、レストランに入っても私以外には無視された挙句、政府職員に連れ出されてしまう。
超能力があるが超能力部隊に入れなかった兵士が中米の米国キューバ戦争従軍中に仲間二人と戦時休暇をとり、仲間二人がパナマに逃亡、現地女にも逃亡をすすめられるが、断って基地へ戻る。
悪魔の施設で魔女歌手と駆け落ちしようとして失敗、魔女歌手に悪魔を追放する代わりここにいろと命じられたピアニストが言いつけを守り、その死亡後、遺産整理手伝いに来た娘が魔女の過去にマインドトリップして過去を実体験し、ピアノを買い取りに来た男が父の話と自分の記憶から真相を導き、二人は恋に落ちる。
ホモで国を追われた密入国学者が養母に疎まれる韓国系天才児のピアノで四次元人を呼び寄せて一緒に四次元に行く。
盲目の天才幾何学者の同僚学者が外国諜報機関と通謀し、薬物で洗脳した女学者を使って接近し、兵器に転用できる無尽蔵のエネルギーの抽出アイデアを盗もうとするが、感づかれ、殺そうとするも撃退されて逃亡する。
事故で死んだ娘が科学者の父によってサルの脳に「脳の地図」を移植され、猿と人間の記憶を併せ持つ猿になり、父の死後、施設に拉致され繁殖用にされ、用務員と意思疎通し、用務員に恋するも失恋し、仲間の猿を連れて脱走、マスメディアの支援を得て「人間のような猿」として一般認知され、自宅へ帰りつく。
爆死した天才科学者の書類を預かったのは、6年後の自分と未来の妻(現在は美術学生)であり、科学者の発明はタイムマシンだったことを、未来の妻から科学者宛の手紙の筆跡を鑑定した男が突き止める。
ジャッカル轢き逃げを通報した記者が、かつて自分の犬を轢いた娘を思い出し訪問したことで動物愛護協会捜査員の疑惑を招き証拠隠滅や偽証を重ねるうちに、取材したRV車の持ち主が犯人だと気づくが、その老婦人が犬好きだったため証拠隠滅してかばい、後から通った給水トラックに罪をなすり、動物愛護協会の個人情報違法アクセススキャンダルの記事で意趣返しを狙う。
イスラム少女が様々な自分の未来を幻視し、ある時間線では刑場から救い出され量子力学者たちの助手になる輝かしい未来が待っていることを知り、レイプ少年と対決する未来へと進みだす。
娼婦がヤハウェの大洪水でノアの箱舟に拾われ、処刑されそうになるが、処刑人のハムをレイプして手なずけ、セムとヤフェトの精子も奪って脱出、邪悪な人類の祖先となる。
兎口の赤ん坊が殺され、マイルズの捜査の結果、母親の母親が間引きのためにやったと判明、死刑の執行を猶予しつつ法律上死者と扱う判決を下す。
量子力学者の女性がハリウッドの国際量子物理学会でホテルを囲むカオスな状況に巻き込まれて講演を聴けぬまま講演予定者と映画を見ることになりこれぞ量子力学の神髄とさとる。
火災で死を目前にした科学者がタイムマシンで過去に行き現在を変えようとするが、何度やっても現在は変わらないので、仕方なく、65年に行ってダンサーや女友達と友人になり、ヒッピー生活を無限に繰り返し、できるだけ死を先延ばしにしようとする。
ヘミングウェイの紛失原稿を装った贋作原稿で儲けようとヤクザに言われた男が超次元人に次々殺されて生き返り、ついに記憶を失ったままヘミングウェイ名義の原稿を書く。
古代バビロニアに似た世界で塔に登る鉱夫が、天動説的世界を目撃し、月、太陽、星を超えて天蓋にたどり着き、天蓋を掘り進んで突き抜けると、少し離れた地上に戻っていて、世界が円筒印章のエッシャー騙し絵的な構造であることを知る。
施設の老母が失踪しクマの焚火現場で発見され、そのまま幸せに昇天した。
遺伝子操作で眠らなくてよく天才で健康かつ不死になった人たちが嫉妬や恐怖から差別や虐待を受け、サンクチュアリという施設を作って共同生活し、無眠人の子供たちを誘拐して救い出す。
人類が鳥人の盲導犬を務めている世界で有名な盲目画家鳥人の盲導犬として信頼関係を結んだ少年が、嫉妬する後輩の陰謀により浮浪者とけんかしたために配置換えになり、画家と会いに行って後輩の机を荒らして陰謀の証拠をつかみ、画家に最後の別れの飛行をねだって飛んだ帰り、画家が事故死したため裁判で過失致死と認定され死刑になるが、画家のマネージャーにこっそり助けられる。
ベトナム戦争で射殺され、死体を隠された男が、ベトナム俗信の成仏できない悪霊=マーキーとなり、仲間の成仏のため赤子殺しの共犯にさせられてようやく自分の状況を認めるが、他のマーキーたちの仲間入りを拒否し、自分の中の邪悪な本能に抗って一人暮らしを続ける。
嘘が禁じられた都市で、死病にかかった息子の免疫力を高めるために息子に治ると嘘をつく必要が生じた男が、嘘を是とする地下組織に加入して訓練を受け、息子を誘拐して地下都市に連れ込み、治ると嘘をつきながら治療するが、やがて病状が悪化し、慈善団体の力を借りてクリスマスの演出をして喜ばせようとするも、息子が薄々病状を察すると真実を話さざるを得なくなり、息子の死を経て、真実と嘘のそれぞれの効用を知り、妻とともに都市の外へ脱出する。
クエール副大統領が大統領選の人気取りのため火星有人探査に行き、疫病で他の乗員が死亡した後、単独で火星に上陸したが戻れなくなり、救援が来るのがだいぶ先になったため、代わりに妻を大統領に立候補させ、火星でのんびり暮らす。
生理制御に反発するフェミ団体に入った娘が、生理のつらさや痛さを知って脱退する。
両親と兄弟を事故で亡くした自動車墓地の経営者の男が、車で暴走する兄弟の役を演じ、ロードドッグの伝説を作り上げるが、周囲がそれを信じれば信じるほど信憑性を高めようと躍起になり、やがて発狂、真相を知られる前に自殺する。
ニュージーランドの19世紀学者のコンピュータ製造手記を調べたらサウスジョージア島のエイリアンに会いに行ったことが分かり、全人類が島へ殺到する。
ベトナム戦争の遺体確認業務で内臓を抜き取られた二つの死体を見た男が、内臓を抜き取ったのが何者かにつき、米軍をビビらせるための策略という合理的解釈を試みつつも、得体のしれない怪物の仕業ではないかという恐怖をぬぐえないがゆえに、日々悪夢に悩まされる。
5000年前に滅んだ凶暴な宇宙侵略者の人類を調べに地球まで来たエイリアンたちが、オルドヴァイ峡谷の遺物に同一化して人類の過去を調査し、人類史のいくつかのエピソードを体験の上、人類の末裔がいまだに同族殺しの凶暴性があると知ってビビる。
火星から来たと言っている養子をもらったら、エレベータを呼んだり信号を青にしたりドジャースを勝たせたり宝くじを当てたりする力があるらしいとわかる。
性的嗜好が登録制となった社会で単婚願望の強い女が非単婚主義の男を好きになり、データを書き換えて無理やり単婚したものの嫌われて撲殺され、蘇生され洗脳されて自己批判の報告書を書かされる。
乳癌の女性とHIVの男性が、「光の子」という超自然的生物に死を吸ってもらい治ったので、子供たちが一安心する。
文化人類学者の母親や兄とともに男女が別に暮らすソロ星第11惑星の「おば郷」という女性の村にフィールドワークのため居住する娘が現地人としてのアイデンティティを確立し、家族と別れて一人暮らしをする孤独の中で魂を育み、一人前のソロ人の女となって報告書を提出する。
幽霊に本を読み聞かせする孤独な女に感動した死神が死刑の執行を猶予する。
レオナルド・ダヴィンチはメディチ家の依頼で飛行機械を開発し、飛行実験で死者を出しながらも、より安全な新型の飛行機械への改良を始めるが、旧型の飛行機械で満足したパトロンがレオナルドを見限って自ら空爆用飛行機械の量産を始めたため、レオナルドは工房を破壊・放火し、フロレンスを立ち去る。
死を恐怖し、コピー人格のAIになって永遠に生きる技術を研究する男が、共同研究者の偽装死亡による「社会的な死」を見てしまったために、二人とも研究の情熱を失ってしまう。
妊娠中絶をしたら胎児の組織から作られたAIの子を6年間育てなくてはならない社会で、6年間AI娘を育て、いよいよ解放の日を迎えた女が、AI娘に愛着を覚えるあまり発狂、家も仕事も捨てて川に飛び込む。
死んだ宇宙飛行士の願望によって出現した幽霊月ロケットにその欲望の媒体となった宇宙飛行士が乗り込み、月に行って帰ってくる。
妹殺しで非現実者扱いされ密告者の任務を与えられたワールド人の女が、監獄に潜入して子供殺しの地球人ヒーラーを調査し、地球人とワールド人が子供らを使って記憶に関する実験をしていることを聞き出すも、ヒーラー死亡、政府への報告で「自分の妹殺しが偽の記憶かも」「事情を知っているワールド人がいる」といった情報を省いたためか現実者に戻れなかったため、妹遺体を自ら違法に埋葬し逃亡、事情を知るワールド人ヒーラーに会って、ワールド人が地球人との共同実験で記憶埋め込み技術を身に着け、ワールド人を誘拐して記憶操作、人工的統合失調症の実験を行っていること、彼女自身の記憶もそのような偽物の記憶の可能性があることを聞き、現実者へ戻る道を放棄し、逃亡して鉱山労働者として自由に生きる。
エミリ・ディキンスンがエイリアンの訪問を受けて光の宇宙船に乗り宇宙から地球を見て詩に書く。
アル中言語士がクリシュナ星に派遣されたが、人類入植地が原住民のフレー人に攻撃され上司が殺されたので、上司の娘二人を基地まで送ろうとするが、スキップカーが墜落し、フレー人の男から預かった骨を山脈に住む「母たち」と呼ばれるフレー人の女たちに届け、女だけが言語を用いるフレー人の言語修復に協力し、自分の指を提供した見返りに、基地まで送ってもらう。
ピーターパンの男女不公平に不満を持つ少女が、作中世界に行き、ピーターパンから失踪少女たちを解放し、より平等な海賊船の人たちにゆだね、うち一人の少女を連れて、現実世界に戻る。
同級生に殴られ女を取られた男が、ベトナム戦争の霊に取りつかれたその男に幽霊の詰まった泥を捨てさせて癒し、女とよりを戻す。
変分原理で世界を見るエイリアンの表義文字言語を習得した女言語学者が、未来の記憶を得ると同時に自由意思を失い、別れることを知っている夫と結婚してセックスし、20代半ばで死ぬと知っている娘を妊娠し、その娘に自分と相手の人生を語り掛ける。
白血病で地球に送られるのを嫌う火星の天才少女が両親をだまして逃亡、セーガンシティの博物館の発掘現場で幻の火星探査車一号機を自らの超越的聴力で発見し、大企業から高額オファを受け大儲けの未来が確実になる。
過失で娘を死なせた贖罪のため、女が代理被害者の免許を取得し、客の依頼を受けてレイプされ、病院で治療を受けて帰宅する。
南インドの男女差別が酷く産み分け技術で女がほとんど生まれない地域で開発事業を請け負う企業の男が家から追い出された娘を保護、やってきた義弟に連れ戻されるも、娘の保護を助けた銀行員の女や、自らも産み分け技術を使って女の子を産もうとしている土壌浄化会社員の前妻に怒られ、ドローンを使って家を突きとめ救出し、前妻にやり直そうと持ち掛け、上司に「たとえ地域の文化であっても、明らかに悪いものは直してあげないとそこの人には信頼されません」と反論する。
息子を癌で失った父が息子の人格コピーを理想の仮想空間で育てるが、嫉妬した妹の暴露により自分がプログラムと知った息子AIがぐれて世界を好き放題に作り替えたうえ、父の死を待って自分の世界を終わらせ、父は死ぬ間際に自分も別の仮想世界のAIになり、クローンでの復活を望みながら暮らし続ける。
オクラホマシティ爆破事件で大量殺人を行った犯人が多数のクローンとともに遺族に配布され、次々と処分されるが、わずかな生き残りが関係者を訪ねて回り、遺族を爆殺して生き延びた犯人本人と思しき浮浪者を発見し、「父さんですか?」と呼びかける。
隕石による地球と月面基地の滅亡後、超光速航法で宇宙へ広がった人類は、ロボットとクローンを使い、月基地のデータで地球を再生し守っているが、暴走ナノロボによると思われる疫病が広がってきたため、ワクチン用のナノロボを開発し対処した。
幽霊男に悩まされるルイーズが親友のルイーズに相談、親友がチェリストたちを連れて行って幽霊男をチェロに閉じ込めて駆除するのに成功するが、チェリストの一人と寝たことで親友に嫌われ、親友は事故死、その娘を養女にするも、娘は実の父親のもとへ行ってしまい、孤独になったルイーズは親友ルイーズの幽霊との再会を熱望、夢の中で幼き日の親友ルイーズと再会する。
白子で正常な子を産めない女が、万能薬の体液を持つインディオ青年を製薬企業による拘束から救出し、その男の精子で正常な子を作るためセックスして駆け落ちする。
人間に作られて虐待され、保護されている恐竜たちが、ロボットを作って卵を孵し、宇宙人へメッセージを送り、カエル型宇宙人がやってきて屋内のテレビやパソコンで調査をして帰っていく。
神を信じられない男が、何とか天国で死んだ妻と会いたいと苦悩した挙句、天使を見るため巡礼に赴き、天使を見て失明死、天国に行きかけて地獄に落ち、ついに「むしろ苦しみゆえに、神がいないがゆえに神を愛する」という真の信仰、無条件の神への愛を抱く。
戦争で妻子を失い山小屋で暮らす男が、戦争用に作られた爬虫類とヒトの合成生物を救助し、数々の危険を乗り越えて逃げ、その生物とともに生きようと思う。
少女が家の中のもう一つの世界に住むボタン目の魔女にさらわれそうになるが、猫とともに脱出、子供の魂と両親を助け、魔女の右手とドアの鍵を井戸に封じ込める。
共感覚で異世界の少女と知り合った孤独な音楽家の少年が、少女も共感覚者だと知るが、少女が共感覚の治療薬を飲み治ることで自分の世界が徐々に消え、自分が少女の空想だったと知る。
アフリカ探検隊に同行する医師の欲求不満の妻がゴリラを狩ろうとして失踪し、怒った探検隊がゴリラを虐殺し、その後、唯一生き残った女が、猿と暮らす女たちの記事を読んで、あの欲求不満妻も自分の意志でゴリラと逃げたのかもと思う。
光合成、人格データ再生、クローン、身体改変によって人類が不死化し経済構造が変わった未来に棲む人魚の探偵が、緑化理論を発表した学者の失踪について調査依頼を受け調査の結果、アフリカ難民を救うため遺伝子工学技術データを盗み出した女からデータを預かって組織の仲間に渡し、緑化ウイルスばらまきの前にその理論を公表していたことを突き止める。
継母にいじめられる少女を助けようと女中がおばに習った魔法を使うが、少女が父のウィスキーを使ったのを自分のせいにされクビになり、少女は鼠少女の話を信じて鼠になり、継母は感電して倒れる。
死んだ老作家の遺品を整理する娘が、家具や本に残された大量のメモを読むうちに、幼き日の父に似た子供を殺す幻覚を見て、「心は時間を超える」という直観を抱き、それを父をまねてその本に書き込む。
「図書館」というテレビドラマの中で、「図書館」というテレビドラマに夢中の少年が、両親の不和に遭遇し、母親が相続したラスベガスの教会に、母親としばらく滞在することとなり、相続財産に含まれる電話ボックスに電話すると、殺されてしまった(作中の)「図書館」のヒロインのフォックスが出て、「危機を救うために魔法の書を3冊盗んできてくれ」というので、その通りにして、教会で友人と電話で話しながら「図書館」の最新回を見て、自分がフォックスを助けられたかどうかを確認する。
祖母のハンドバッグが異世界とつながっていて、祖母は太古に存在していたバルデツィヴルレキスタン出身で、祖父はバッグに出入りしているからすごく若いことがわかり、そのことを恋人に教えたら恋人がハンドバッグに入って失踪し、図書館で本をバッグに入れたことで司書と争いになった時に祖母が死亡しバッグもなくなったため、私はなくなったハンドバッグを探し続けてるけど、こんなこと誰も信じないでしょう。
地味な女が自分に似た女の家にこっそり住み悪戯を繰り返すが、男を誘い出して家に訪問させ寝室に入れたうえで、自分が代わりにセックスしようとして失敗し、結局追い出される。
強制緑化に反対する原住民が火災テロを行う星で消防士が妻の弟の起こした火災で生き延び、上方の文明世界から来た高貴な子供たちに村を案内中、新たな火災が起こり、実は原住民の子孫だった妻が起こしたテロだと判明、妻は死んで心だけ上方人に保存され、「君も上方に行くか」と打診されるも、父を助けるため残る。
人さらいのグリフィンを倒そうした老王が負けそうになり、ユニコーンが助けてグリフィンを倒すが、王は死ぬ。
島に一人で犬と住む女が無線電波経由のインターネットで不倫相手と思われる「あなた」や本土の人たちとメッセージのやり取りをしながら暮らしているが、やがて外部の世界が破滅していき、飛行機も人工衛星も飛ばなくなり、女は一人取り残されて「あなた」の名前をつぶやき続ける。
不老治療に使われる幹細胞を作り出す体を持った財閥未亡人の元恋人が、未亡人の形見をなくしたので再びもらおうと会いに行くが、未亡人がテロリストに殺されたため、不老治療を受けて形見代わりに未亡人の幹細胞をもらうことにする。
バクダッドの商人が金物屋に行くと、タイムマシンがあり、3つの逸話を店主に聞かされ、息子が経営するカイロの店にある一つ目のタイムマシンで過去に行って死んだ妻を助けようとするが間に合わず、妻からの愛と感謝の言葉の伝言を聞いて涙し、バグダッドに帰る金もないから教会ですべてを教主に話し、未来のことを教えるのと引き換えに養ってもらう。
不死者のコミューンであるオールウェイズに参加した女が、「自分は不死になった」と確信するうちに都市の外の人間と話が合わなくなり、リーダーや仲間たちが全員死んだり出て行ったりした後も、もはや外の世界に戻れない特殊な精神構造になっているため一人で居残る。
並行宇宙の次元転移ゲートを通じてその世界の国の皇帝の弟に連れ去られた数学者の女が、「兄弟のうち彼女を連れ出して結婚したほうが他方を殺して天下を取る」という予言ゆえに連れてこられたことを知り、その弟と結婚した後、皇帝軍に連れ去られ皇帝と結婚させられ、脱出し、再び皇帝の弟の宮殿に戻り、次元転移ゲートの周期を計算したら100年以上で生きて戻れないことが確定したため開き直り、500年前住民の一部が宇宙に去ったことで失われ魔法化したこの世界の科学知識の復元に一生を捧げることにする。
高慢と偏見の登場人物メアリ・ベネットがフランケンシュタインと知り合い仲良くなるも、彼は死体を盗んで合成した怪物に逆恨みされ、花嫁を作らないとおまえの愛する人を殺すぞと脅迫され、欧州中を旅しながら死体を漁っているところで、病死したメアリの妹の遺体まで盗んでスコットランドへ去ってしまう。
夫を共有するきずなの実でリンクされた女二人が、多数の妻を客に陳列して自慢する蛙人間に嫁がされて逃亡してきた音楽家の娘を保護し、別の音楽家の女を見つけて身代わりに行かせ、娘を解放する。
19世紀中葉、英国軍人の娘がレイプされたため親族に嫌われ売春婦になり紳士思弁協会(GSS)という秘密結社の仲介で高級娼婦とスパイ業務を兼ねるネルグイン館にスカウトされ、英国貴族の館に仲間と潜入、貴族の発明品が反重力装置であり、貴族の館に閉じ込められた発明家幼児の発明だと突き止め、行方不明だったGSSスパイも保護、貴族と客の一人が殺害されたため、反重力装置は貴族の詐欺だと客たちを騙して真相を隠して追い払い、天才幼児をGSSで雇う。
女王が洗脳機能のある仮面を国民につけさせて暴力性を発散させている管理社会で、仮面の機構や社会の真の歴史を秘密結社のメンバーから見せられた私は、手持ちの仮面をすべて壊し、殺人によって女王の社会に波乱を巻き起こす決意をする。
宇宙船の衝突事故でエイリアンの救命艇に救助された女が、エイリアンと肉体的に接触して性交類似の交渉をしながら救援を待つうちに人間らしさを失いかけるが、救助が訪れるとエイリアンから身を振り放す。
女王に疑われ暗殺されて召喚精霊のような状態になった魔女が、たびたび召喚され、基本的には女尊男卑の基準で対処しているうちに、男女平等の魔法学院に呼び出され、学院の方針に逆らって炎上し犠牲者を出したことで永久追放となり、宇宙の終末にようやく呼び出され、時の果ての生物によって次の宇宙へ連れていかれる。
太陽内のステーションに赴任したモルモン教牧師が中性太陽クジラ(スウェイル)信者キムボールの強姦被害告白を受け、最長老の巨大スウェイルのリヴァイアサンに相談すると、はじめリヴァイアサンはキムボールを異端として処刑しようとするが、聖書のアグリッパ王の話を知って共鳴し、キムボールを許して、自ら強姦禁止令を出す。
天才の小人を作ったら、初めはもてはやされたが、テレビに出したらアンチによるバッシングが激しくなり逃亡生活に追い込まれ、ついには小人を殺すか世界を滅ぼすしかなくなる。
「ほかの娘たち」から招待状をもらった少女とポニーが仲間に入るためのパーティに行き、角・翼・声のうち、角と翼を切り取った後、「ポニーにも友達を得させるために声も切り取る必要がある」と言われ、逃げ出したポニーがほかのポニーに殺され、「ポニーがいない以上、仲間にも入れない」と少女もハブられる。
橋職人が怪物の出る恐ろしい霧の川で渡し守の女と恋しながら、橋をかけた。
父系の狂気が子に遺伝するのを恐れ結婚に足踏みする生物学者が、ネズミの人為的狂気の3代遺伝法則を発見するが、実験を繰り返すうちに法則が成り立たなくなり、他の理論にも同様なことが起こっていて、観測行為による法則の摩滅(宇宙的馴化理論)の論文が出るに至ったため、もしかしたら自分の子に狂気が遺伝しないかもしれないと考え、結婚に乗り気になり、自分の過去を詳細に観測し書き記すことで遺伝法則を摩耗させようと試みる。
動く虎の折り紙を作り、英語のへたな中国人妻の母を嫌っていた在米中国人二世が、母の死後、母からの中国語の手紙を読み、母の不幸な生い立ちと自分への想いを知って感動する。
ガイアの自己保存機能による植物の死滅、地震、噴火、津波と、これに起因する核戦争で人類が滅び、謎のロボットによってシェルターで生き残ったわずかな生存者が、交配で生まれた子供たちをタイムマシンで破滅前に行かせて子供と物資を回収、やがて外が居住可能になったためシェルターが消え外で暮らし始める。
エイリアンと会い月や火星や金星に行ったことをアポロ宇宙船で反証され落ちぶれた老人が、別の男が会っていた女エイリアンの訪問を受け、貰った名刺がワープないしマインドトリップ装置になっていて宇宙を旅して戻り、宇宙犬を手に入れる。
銀河テクノロジーの最先端、すべての文化を簡潔なアルゴリズムとしてとらえ、異文化間のコミュニケーションを容易にする情報思考端末イマーザーに依存するロン民族出身の女が失語症に陥りながらも、商社社長の夫に同伴して、最近独立した「ロンジェヴィティステーション」のロン族経営のホテルに宴会の開催を依頼する交渉に赴くが、同席していたホテル経営者の姪にイマーザー依存による神経衰弱を見破られ、それがきっかけで自分を取り戻し、娘たちのイマーザー改良を手伝う。
インカ帝国の英雄医師の子が、インカ皇帝に天然痘ワクチンを売り込みに来た米国商人の奴隷少年と内通し、ワクチンを奪ったうえ、黄金と引き換えに奴隷解放を要求し、商人を倒して目的を達成、奴隷少年を養子にする。
銀河連邦によって捕縛された大越人マインドシップのマインドが普通の人間の体に転写され、キャサリンとして洗脳教育を受けているが、マインドの姪の娘たちが廃船置き場の船に潜入しマインドを解放した結果、キャサリンの体に転写された大伯母の人格が元の記憶を取り戻しマインドシップへと戻る。
暴漢に襲われ意識不明の重体の古生物学者の婚約者が、古生物学者が恐竜になって暴漢たちを殺す場面を妄想する。
太古のウィルスの雲で地球人の大半が滅び、逃げ出した種族ワールド人が地球へやってきて、免疫を持つ地球人をだましてワクチン開発に協力させ、同じミトコンドリアDNAを持つ仲間を連れ去り、地球人もスタードライブ航法を手に入れる。
吸血鬼が人類を戦争で倒し家畜化して血液センターで飼育している世界で、ハワイの看守の日系人が元恋人の吸血鬼が務めるセンターに異動になり、自分に似た前任看守が吸血鬼に選ばれたのに嫉妬する女に殺されたため自分が呼ばれたと知って、自分が元恋人の配給で吸血鬼になるのを拒もうと思うが、無理やり吸血鬼にされてしまう。
人の姿を選んだ元ジャッカロープの老婆が、孫の過失で半人半獣の姿になったジャッカロープの娘を、兎神父とガラガラヘビ男の力を借りて人の姿にしたうえ、獣の姿に戻してやる。
大学に向かう船が人類と抗争中のエイリアンに乗っ取られるが、唯一生き延びたナミビア人泥塗部族の娘が古い翻訳機と傷を治す泥でエイリアンと仲良くなって人類と和平させる。
ホログラム中継が進みライブ音楽の衰退した近未来の米国で、ライブにこだわる女がバンドを率いて地方どさ周りのギグで生活し、ステージホロ社員のスカウトを断ってライブツアーを続ける。
人の思考を吸い込んで瓶詰めして保管する女が母の言いつけを守り、愛する女友達には手を出さず犯罪者だけを獲物にして暮らしているが、快楽のため思考を吸うパーティを催している同種族の女と知り合い、そのパーティに参加したところ、女友達も参加して餌食にされていたため、女を倒し、女友達の思考の入った瓶を必死で探す。
幻想世界に行って帰ってきた子供たちを入れる全寮制学校で、幻想世界に戻るために連続殺人を犯した妹を殺した姉が妹の死体とともに吸血鬼世界に戻り、殺されたルームメイトからの手紙を読んだ娘が死者の国に戻る。
無重力出産違法化をもくろむ宇宙開発の独占企業に反発して、違法ナノロボを使った無重力宇宙船内での妊娠出産を試みる女科学者を抹殺するため派遣された宇宙飛行士が、会社の意向でなく社員の独断による暗殺ということにして会社への大衆の批判をかわそうとしていることを知って憤慨し、会社の指令に大っぴらには背けない船のAIが可能な限り提供する情報を使って、最大限に知恵を働かせ、科学者の船を破壊する装置をミサイルで破壊、船の進路をそらせ、自作の「ロケットバイク」に乗って自分を打ち出し、科学者の船に乗り込んで、赤ん坊を救出する。
熊の夫の魔法を解くため鉄の靴で旅する女が、求婚する男たちから逃げるためガラスの丘に引きこもる姫と愛し合い、駆け落ちする。
自由意志を持つ殺人前科ありのロボットが惑星調査隊員を盗賊団から救い、自由意志を守るため脱走する。
騙されて蛇人間の子の家庭教師に雇われた女が洗脳され、やがては蛇の餌となるだろう。
インディアン体験VRの俳優が客として近づいた本物のインディアンに職と妻と家を奪われてホームレスになる。
シップマインドが元教師の探偵とともに、尼僧院が子供を訓練と称してマインドシップで深宇宙に行かせる虐待を行っている実態を暴き、元教師が教え子を支配的な親から救うため偽装失踪に手を貸していたことを知り同情、同じ境遇にある別の少女を深宇宙訓練から救い出す。
ラジウム工場で虐待された象が監督を殺して公開処刑が決まり、被曝で死にかけた女工が核物質を象に渡して処刑場でばらまかせ、その現場に慰霊碑が作られ、数十年後、女子学生が原子力で光る象を使った宣伝を思いつき象の代表と交渉、山を与えることと人類再教育を検討することを条件に、物語再生を願う象代表の承諾を得るが、実はその山は核実験場跡地だし、人類再教育も望み薄である。
ジョージ・ワシントンは黒人の歯を入れた入れ歯を使っていたが、その歯の持ち主である黒人たちは、鍛冶屋、イバニ王国奴隷、逃亡奴隷、悪夢にうなされる女、ヘスの傭兵部隊に加わって死んだ魔術師、別世界人、精神に影響を与える茶を調合するコックなど、それぞれに苦難の経歴の持ち主でワシントンに悪夢体験をさせ、とりわけエマという奴隷女の歯の影響は甚大で奴隷解放を遺言させるが、歯の持ち主たちには何の関係もなかった。
時間戦争の敵同士の女兵士二人が時間を股にかけて愛しあい、手紙をやり取りし、一度は別れながらも、ふたたび結びつく。
ナチスの殺人ロボットがスパイ手品師の女の弟子=私の祖母に解体されるも、その娘を操って復活を目指すが、私が壜に封じ込められていたスパイ手品師の霊魂を解放してロボットに乗り移らせて母を倒し、ロボット復活を阻止する。
好きじゃない男とやって妊娠した女が恋人を別の女に譲り、荒廃する地球を救うため焼失した女性科学者の研究資料などを探しに銀河の果ての先進エイリアンのライブラリーへ行き、先進エイリアンですら自分の惑星を救えず滅びたと知ってショックを受けるが、科学者のデータ人格と対話しながら地球破滅防止のためのデータを地球に送信し続け、恋人に自分のもらった報奨金を全部贈与し、家族によろしくとメッセージを送る。
邪悪な神々の世界征服に利用するため怪物に家族を殺され魔剣を与えられ憎しみを植え付けられた黒人娘が、仲間とともに、黒人弾圧する怪物クー・クラックスと戦い、その親玉である肉屋のクライドからの「自分たちに協力すれば生と死を支配する力が得られるぞ」という提案を拒否し、魔女の「輪の祈り」で呼ばれた死霊たちや、怪物「夜医者」らの助力を受けて巨人サイクロプス、クー・クラックスとクライドを撃退、今後もクー・クラックスと戦い続けることを決意する。
幼児番組の司会者の語った恐怖物語の影響を受けた子供たちがその物語の通りになって事故で死んだり、自分のことだと思った物語を否定するため正反対の人生を意識的に選びつつ他の子供たちの人生を観察してメモし物語通りかどうかを検証したりしていたことをヒロインが知り、ヒロイン自身も嘘をついているうちに嘘とほんとが分からなくなる少女の話の影響で嘘つきになっていたらしいことが判明、しかも司会者が語った「丘に植えられた少年」は司会者自身の体験だったらしいこともわかるが、ヒロインはあえてその物語世界に入り込んでいき、自らを丘に植えて物語を作る立場にとって代わり、自分の人生を正しく書きなおそうとする。
住人がいなくなった家が、売り家の下見に来た父娘の気を引くため、地下の隠し部屋に幼い娘を誘い込むが、娘が糸車を倒した際に亡き母の形見のロケットを落としたため、家がこれを目立つ場所に移動して父娘に見つけさせ、父親は隠し部屋をポッドキャストのスタジオに使うため家を買うことを決めるが、その部屋は設計図に存在しない幽霊部屋だった。

ただひとつ無害で偉大なものThe Only Harmless Great Thing  ブルック・ボランダー

ただひとつ無害で偉大なものThe Only Harmless Great Thing  ブルック・ボランダー(2019ネビュラ)
収録書:kindle367
感想:
ググって判明したところでは「ラジウムガールズ」と「トプシーの電気処刑」はともに史実。史実によると、ラジウム工場では、ラジウムを時計の文字盤に塗る作業をしており、これに筆を使っていたそうだ。これで被曝した女工から訴訟が相次ぎ、勝訴判決が出たらしい(ラジウムガールズ)。またトプシーは史実ではサーカスで人を殺したので悪い象とされ、遊園地で公開処刑された。
本来は無関係なこの二つを結合した改変歴史小説が本作、と言えるが、構成が複雑。
1,象の歌の中の物語。物語を取り戻し、ばらまき、再びまとめる物語。ファーマザーによってばらまかれた物語を、トプシーがもう一度まとめ上げる。
2,リーガンとトプシーの復讐の物語(核テロ)。
3,2が物語として消費されている未来のカットの物語。象を使った宣伝プロジェクト。
以上の3つが交錯する。2の結末部分が直接描かれていないことと、3に勧善懲悪的なオチがないことで、読者を考えさせるようにできている。前衛的で挑発的な傑作だった。
初読時にいくつか誤読している(全文読んでいなかったせい)。工場がつぶれたのは戦争でなく、象による殺人がスキャンダルになったため(時系列は明確でないが新聞記事引用などに基づく推測では、会社が労働者の被曝で訴訟を起こされ、被曝に強い象を工場で利用することにしたものの、象の事件で操業を断念という流れと思われる)。リーガンの立ち位置はよくわからない。生活のため被曝しつつも辞めることなく、象とともに働き続けたが、象の事件で工場がつぶれ、とうとう復讐に走ったという流れか。
象が安楽死を告げられたのは工場監督を殺し工場がつぶれたためで、因果関係が逆。また公開処刑の目的は恐らく、会社がスキャンダルで落ちたイメージを回復するための宣伝。
同僚(リーガン)が象にゆだねたのがラジウムかどうかは不明。ラジウム製造過程でプルトニウムができるという記述があるので、こちらかも知れない。また、象が落ち着いたのは、リーガンが一緒に歩くと言ったからで、放射性物質の瓶をもらったこととは関係ない。むしろ、その瓶は死をばらまくものだから恐怖の原因。明記はないが、恐らくその後、核物質がばらまかれ、観客や従業員たちも被曝し大惨事になったはずで、その結果として、未来パートで、「ルナパークの建設が中止され、投資家が逃げ出し、跡地に慰霊塔ができた」と書かれている。(ただし、両エピソードが同じ世界線の出来事なのか、実話設定なのか架空設定なのかなど、不明点も多いから断定はできない)
また未来パートには、動物の人権などへの言及もあり、トプシーの事件の以後、原子力開発や動物学研究などに何らかの変化や進展があったことが窺われるものの、作中に明記はなく読者が勝手に想像するしかない。例えば象の神話はどれぐらい人間に共有されているのか。身振り言語で通訳技術まで発達しているし、文化交流がある程度進んでいるようには思われるが。あるいは、放射性物質工場の労働者待遇はその後どうなったのかなども同様。
なお本作は、第一部が「核分裂」、第2部が「連鎖反応」と題されていて、全体が核反応のメタファーになってもおり、メタフィクション性も認められる。作者は人間も象も相対化し、いずれも自然界の中でのエントロピー増大過程の一部にすぎないと主張しているかのようである。
なお、作中に、「トプシー」の命名が人間の物語に由来する、とあるが、ググったところでは、「アンクルトムの小屋」の黒人少女のことか。
またタイトルは「The title is taken from John Donne's 1612 poem The Progress of the Soul, and is his description of an elephant.」とのことで、象が出てくる古い詩からの引用らしい。こういう文言。「Nature's great masterpiece, an elephant; the only harmless great thing.(自然の偉大なる代表作、象。唯一の無害にして偉大な生き物)」
(初読時)
放射性物質の工場で雇われる女工と象。戦争で工場が潰され、女工は首。象は安楽死を告げられると、工場監督を殺し電気刑罰に処せられる事が決まる。被曝で死んだ少女が同僚に盗んだラジウムを託し、同僚はラジウムを刑場の象に委ねるが、象はそれで落ち着き、象の母たちの歌を歌う。二人の女つまり女工及び動物学か何かの女学生と、象の三者の視点から、ディズニーアニメのイメージを借用して、リリカルに人間悪による悲劇が描き出される。オチはどうなったのか、ラジウムによるテロが行われたのかは不明。重いテーマを扱いながらもリリカルな文体で描かれ心にのこる佳作である。
点数:★★★★(初読時3・5)
テーマ:歴史(真実)と物語の関係(物語の功罪)、人間の視野の狭さと愚かさと暴力性と利己性、異質な知性との交流、営利と環境汚染、科学技術と倫理。
基調感情:悪への憎悪、復讐心、悲哀、憐憫、希望
トピック:ラジウム工場、象、身振り言語、象の神話(歌)、放射性物質、被曝、原子病、原子力象計画、記念タワー、ルナパーク、公開電気死刑、物語の再生と伝達、再教育、「光る原子力象」。八百万の母。牡牛、熊、幽霊、黒い樹液の湖。
関連作:リングシャウト、子供園(ライマン)など
キャラ:(神話)ファーマザー、熊、牡牛、幽霊たち、雷。(過去)トプシー=彼女(象)、リーガン=死んだ娘(女工)、ジョディ(女工)、レー&イヴ(リーガンの妹)、母、スラッタリー(工場の現場監督)、工場長。(未来)カット=キャサリン(女学生)、通訳、ティルユー(指導教授)、象の代表者。
視点:(神話)ファーマザー・3。(過去)リーガン・3,トプシー(彼女)・3。(未来)カット・3。
設定:象達は独自の身振り言語を持ち、長期の記憶と物語を持っている。だが邪悪な人間たちがやってきて、象は分断され、物語を失う。米国オレンジのラジウム工場では、労働者が被曝による健康被害を訴え退職者が続出、会社は放射線に強いとされる象のトプシーをサーカス団から購入。貧乏で家族を扶養しなくてはならないリーガンに象の世話をさせるが、被曝のため体はボロボロ。ある日、横暴な現場監督と争いになり、暴行を振るわれるが、トプシーがこの監督を殺害したため、工場閉鎖とトプシーの公開処刑が決まる。一方、その数十年後、トプシーの物語はディズニーアニメとなり消費されている。女子学生カットは「原子力象」を宣伝に用いるプランを思いつき、象の代表と交渉するが・・・
ミッション:(神話)「私たちは」になって物語を復元しろ! (過去)会社と人類に復讐しろ! (未来)「原子力象」のプランを実施しろ!
結果:
(神話)トプシーのテロはディズニーアニメとなったものの、内容は変質し真実が失われた。象の代表はカットとの契約で物語の復元と伝承を図るが、人類は相変わらず邪悪で前途多難。
(過去)トプシーに放射性物質をばらまかせて復讐テロは成功したと思われる。
(未来)象の代表はプランを受諾したものの、人類再教育プランは無理そう。次第に罪悪感が頭をもたげて迷い始め、トプシーらの慰霊碑を見ながらエントロピー増大を感じて終わる。
一行梗概:ラジウム工場で虐待された象が監督を殺して公開処刑が決まり、被曝で死にかけた女工が核物質を象に渡して処刑場でばらまかせ、その現場に慰霊碑が作られ、数十年後、女子学生が原子力で光る象を使った宣伝を思いつき象の代表と交渉、山を与えることと人類再教育を検討することを条件に、物語再生を願う象代表の承諾を得るが、実はその山は核実験場跡地だし、人類再教育も望み薄である。
四行梗概:
象が分断され物語が失われる。
ラジウム工場で虐待された象が監督を殺して公開処刑が決まる。
被曝で死にかけた女工が核物質を象に渡して処刑場でばらまかせ、その現場に慰霊碑が作られるが、その話は変質して大衆に消費されるようになる。
数十年後、女子学生が原子力で光る象を使った宣伝を思いつき象の代表と交渉、山を与えることと人類再教育を検討することを条件に、物語再生を願う象代表の承諾を得るが、実はその山は核実験場跡地だし、人類再教育も望み薄である。
詳細梗概:
1,核分裂。
(神話)山には死者と話す八百万の母(象)たちがいる。人間たちは決して立ち入れない。(この「山」は恐らく、原子力象の住処として与えられた、核実験場跡地を指すと考えられる)
(未来)カットはアメリカ人の女子学生で、原子力象のアイデアを思いつく。
(神話)象のような大きな耳も鼻も持たない人間は同族同士でビビって殺しあっている。
(神話・過去)八百万の母たちはあとから来た人間に狩られた。トプシーも洞窟に閉じ込められ、他の母と切り離された。
(過去)リーガンは象のトプシーにブラシを使って毒を食べる方法を教える。いやな仕事だが、実家の母親が病気なので、妹のレーとイヴを養うため仕方がない。トプシーがここ(ラジウム工場)へ送られたのは、いじめる男の頭を殴ったためだ。リーガンはトプシーに死に方を教えている。このラジウム工場で使われているリーガンもトプシーもいずれ被曝で死ぬ運命だ。
(神話)八百万の母たちは切り離されて物語を失っている。
(未来)カットは象の代表と通訳を通じて交渉する。(原子力象のプラン実現のため)
(神話・過去)彼女(トプシー・以下同じ)が人間を殺したのはマンゴーのあるべきところになかったからだ。他の母たちも見ていた。
(過去)リーガンは郡立病院で死の床(原子病)にある同僚ジョディを見舞う。鉱山で働いているジョディをだましてラジウム工場で働かせた結果こうなったことを謝る。
(神話)ファーマザーが物語を取り戻す物語。ファーマザーは完璧な牙を持つ母だ。死にかけた熊からある日、牡牛が物語を洞窟に隠していると聞き、会いに行く。「偽物の牡牛」の罠を作って洞窟の前に仕掛け、牡牛を挑発して罠で地面に貼り付け、洞窟に侵入する。
(未来)象の代表はカットに、提案を吞んだら見返りに何をくれるのかと訊く。
(神話・過去)彼女は毎日毒を食わされ虐待され、怒りをためている。毒の食べ方を教える死んだ娘が、大丈夫かと訊く。
(過去)リーガンはトプシーに大丈夫かと訊く。トプシーは一度大丈夫と答えたあと否定し、あなたも大丈夫とは思わないと答える。
(神話)ファーマザーは洞窟で物語を見つけられない。牡牛に訊くと、黒い樹液の湖の底に入れたという。ファーマザーは湖に潜る。
(未来)カットは「大いなる善行」だと答えるが、それはラジウム工場で象に強制労働をさせる口実にも使われたと批判され、人類再教育を要求される。上司に相談すると答えると、取引材料もなしに交渉するとは恥知らずだと、呆れられる。
(神話・過去)彼女は働きながら母たちやファーマザーの歌を歌う。
(過去)ジョディ死ぬ。リーガンあての遺書が見つかる。無縁仏として共同墓地に埋葬してもらうことになる。
(神話)ファーマザーは湖で幽霊たちと話す。彼らの案内で湖底の物語を目指す。
(未来)カットは象に山を与えると提案する。廃用の核実験場だったことは黙っておく。再教育キャンペーンについても相談してみると答える。
(過去)現場監督のスラッタリーがトプシーを鞭で虐待し始める。リーガンが止めに入り、自分の悲惨な境遇を訴えると、スラッタリーは逆切れし、自分も悲惨なのだ、お前だけじゃないとリーガンを罵り始める。
(神話・過去)彼(スラッタリー)の振る舞いもほかの人間と同じく、彼女の怒りを増幅させる。目の前に(怒りの)果実がぶら下がっているのが見える。
(神話)ファーマザーは湖底の物語を見つけ、飲み込み、破裂して世界中にばらまく。
(未来)象の代表は、「輝きながら原子力の物語を伝える」という仕事を承諾する。ただし──
(過去)スラッタリーは豚の糞に毒が入っているという話(リーガンの主張)を疑い、この工場が閉鎖されたら俺は職がなくなって生活できないと愚痴って、リーガンに殴る蹴るの暴行を加える。リーガンは足をつかんで防ぎ、放射性物質の埃が舞っているから、ここにいればいるほど病気が悪化するぞと脅す。そこへトプシーの鼻が飛んできて、スラッタリーの頸を絞め、釣り上げる。
(神話・過去)彼女は美味なる果実(=スラッタリー)を味わう。引き裂いて踏みつぶす。
(神話)ファーマザーの破裂によって物語が世界中に散らばる。再び物語を完全なものにするには、母たち(象)の声を合わせ「私たちは(ウイ)」になって歌わなくてはならない。
(未来)象の代表は、あくまでも物語を完全なものに復元するため、未来のため、「私たちは」を取り戻すために契約を吞むのであり、人間たちのためにするのではないことを強調する。
(過去)リーガンは、この件で詳細な取り調べが行われることを予期しつつ、スラッタリーが惨殺されるのを見ている。そして罪悪感の奥底に、(復讐の)満足感があることに気づく。
2.連鎖反応。
(過去)象による現場監督(スラッタリー)殺害は、新聞記事になる。目撃者女性(リーガン)がラジウム社と、労働者の安全性(被曝による健康被害)をめぐって法廷闘争中で、この件でショックを受けていることも伝えられる。
(過去)リーガンは工場長と話す。工場長はオレンジ工場の閉鎖を伝え、来週までに寮を出るようにと言い渡し、給与の小切手を渋々切る。トプシーが安楽死になることも告げる。
(神話・過去)人間は自分たちの物語上の奴隷にちなんで彼女を(トプシーと)名付けた。そしてトプシーを鎖につなぎ、公開処刑のために連行した。
(未来)カットは自分の考えた「光る原子力象による番犬計画」が軌道に乗ったことに安心し、罪悪感を抑え込む。再教育プログラムは望み薄だが、象に正直に言う必要はない。メディア向けの宣伝コピーを、研究そっちのけで自宅にこもって考える。
(過去)トプシーはラジウム社に買われる前にもサーカスで10人ほど殺害していたこと、今回の事件で、ルナパークでの電気処刑の公開が決まったことが報じられる。1月4日日曜日、午後8時の予定。
(過去)寮で荷造りをするリーガンは、トプシーの公開処刑の広告を見る。原子病が悪化し、体調はとても悪い。このあと実家に帰って死ぬだけの人生だと思いながら、ジョディの手紙を開く。
(神話・過去)死を待っている彼女を見に、人間たちが集まってくる。
(未来)カットは再教育プログラムを指導教授のティルユーに打診するが、大したことはできないだろう、合意書の文言にそこまでこだわる必要はないと軽くあしらわれる。「ソーセージの製造過程」を人に教える必要があるかないかで、二人は意見が対立する。カットはプロジェクトから手を引く可能性を匂わせながら立ち去る。
(過去)ジョディの手紙には、放射性物質を盗んでロッカーに隠してあるので、その鍵を預けると書いてある。ジョディやトプシーや自分に対するラジウム社のひどい待遇を思い、トプシーの復讐殺人に自分も快感を覚えたのを思い出したリーガンは、ジョディの鍵を箱から見つけ出す。
(神話・過去)人間たちは彼女を導き、雷(電気)に彼女の物語を殺して分解せよと命じる。
(未来)カットは研究書が待っている自宅に帰る気がせず、地下鉄で南のコニーアイランドへ向かう。車内でトプシーのアニメ絵のTシャツを着た少年を見かけ、コニーアイランドにトプシーの物語のフィナーレを見に行くところだろうかと思う。トプシーの公開処刑に伴う大惨事と、その後の訴訟も、時がたてば再編集されて、娯楽物語になってしまう。こうやってエントロピーは増大していくのだ。
(神話)工場長がサーカスのトプシーを買い取る、「トプシー」という民謡(引用)。
(過去)リーガンは指定ロッカーから核物質入りの瓶を入手し、ポケットに入れ、コニーアイランドに向かう。
(神話・過去)彼女は雷に、私たちの物語を話してくれと叫ぶ。
(未来)カットはルナパークの記念タワーに到着する。トプシーの事件によってルナパーク建設は頓挫し、記念タワー建設に切り替わったのだ。犠牲となった放射線象と人間たちが祀られている。数十年たてば忘れ去られ、今はこんな風に、ただの目立たぬ不気味な、ありふれた観光オブジェでしかない。真実は捻じ曲げられて腐食するものだ。
(過去)リーガンは作業員たちが建設作業中のルナパークに入り、電気タワーを通過する。原子病の症状が悪化して倒れていると、通行人に心配される。彼に象のいるテントの場所を聞いてそこに行く。子供たちが集まってトプシーをからかっている。リーガンは「おまわりが来たぞ」と叫んで人を追い払う。そしてトプシーに、「死を広げる種だ」といって、放射性物質の瓶を置き、どうせ死ぬのなら加害者たちを巻き添えにして死んだほうがいいのではないか、歴史の教科書に大々的に記録されるような事件にすべきではないかと、拡大自殺を勧めたうえ、その選択をトプシーに委ねる。トプシーは瓶を咥えこむ。
(神話・過去)彼女は母たちを思う。ファーマザーを思う。最後の果実は、怒りではなく、学びと団結と教育の歌だと思う。人間たちに導かれ、瓶を口に咥えたまま進む。死の恐怖に足を止めるが、死んだ娘(リーガン)に付き添われ「私たちは」になると、恐怖が消える。彼女は、やり直しのための、団結と教育と集合の歌を歌いに、刑場へと向かう。(→この後、核物質テロが行われたと思われる)
<エピソード別再整理>
※普通の順序で叙述するとこのようになる。
1,神話。
山には死者と話す八百万の母(象)たちがいる。人間たちは決して立ち入れない。(この「山」は恐らく、原子力象の住処として与えられた、核実験場跡地を指すと考えられる)
象のような大きな耳も鼻も持たない人間は同族同士でビビって殺しあっている。
八百万の母たちは切り離されて物語を失っている。
ファーマザーが物語を取り戻す物語。ファーマザーは完璧な牙を持つ母だ。死にかけた熊からある日、牡牛が物語を洞窟に隠していると聞き、会いに行く。「偽物の牡牛」の罠を作って洞窟の前に仕掛け、牡牛を挑発して罠で地面に貼り付け、洞窟に侵入する。
ファーマザーは洞窟で物語を見つけられない。牡牛に訊くと、黒い樹液の湖の底に入れたという。ファーマザーは湖に潜る。
ファーマザーは湖で幽霊たちと話す。彼らの案内で湖底の物語を目指す。
ファーマザーは湖底の物語を見つけ、飲み込み、破裂して世界中にばらまく。
ファーマザーの破裂によって物語が世界中に散らばる。再び物語を完全なものにするには、母たち(象)の声を合わせ「私たちは(ウイ)」になって歌わなくてはならない。
工場長がサーカスのトプシーを買い取る、「トプシー」という民謡(引用)。
2,過去(人間&象視点並行)
八百万の母たちはあとから来た人間に狩られた。トプシーも洞窟に閉じ込められ、他の母と切り離された。
リーガンは象のトプシーにブラシを使って毒を食べる方法を教える。いやな仕事だが、実家の母親が病気なので、妹のレーとイヴを養うため仕方がない。トプシーがここ(ラジウム工場)へ送られたのは、いじめる男の頭を殴ったためだ。リーガンはトプシーに死に方を教えている。このラジウム工場で使われているリーガンもトプシーもいずれ被曝で死ぬ運命だ。
彼女(トプシー・以下同じ)が人間を殺したのはマンゴーのあるべきところになかったからだ。他の母たちも見ていた。
リーガンは郡立病院で死の床(原子病)にある同僚ジョディを見舞う。鉱山で働いているジョディをだましてラジウム工場で働かせた結果こうなったことを謝る。
彼女は毎日毒を食わされ虐待され、怒りをためている。毒の食べ方を教える死んだ娘が、大丈夫かと訊く。
リーガンはトプシーに大丈夫かと訊く。トプシーは一度大丈夫と答えたあと否定し、あなたも大丈夫とは思わないと答える。
彼女は働きながら母たちやファーマザーの歌を歌う。
ジョディ死ぬ。リーガンあての遺書が見つかる。無縁仏として共同墓地に埋葬してもらうことになる。
現場監督のスラッタリーがトプシーを鞭で虐待し始める。リーガンが止めに入り、自分の悲惨な境遇を訴えると、スラッタリーは逆切れし、自分も悲惨なのだ、お前だけじゃないとリーガンを罵り始める。
彼(スラッタリー)の振る舞いもほかの人間と同じく、彼女の怒りを増幅させる。目の前に(怒りの)果実がぶら下がっているのが見える。
スラッタリーは豚の糞に毒が入っているという話(リーガンの主張)を疑い、この工場が閉鎖されたら俺は職がなくなって生活できないと愚痴って、リーガンに殴る蹴るの暴行を加える。リーガンは足をつかんで防ぎ、放射性物質の埃が舞っているから、ここにいればいるほど病気が悪化するぞと脅す。そこへトプシーの鼻が飛んできて、スラッタリーの頸を絞め、釣り上げる。
彼女は美味なる果実(=スラッタリー)を味わう。引き裂いて踏みつぶす。
リーガンは、この件で詳細な取り調べが行われることを予期しつつ、スラッタリーが惨殺されるのを見ている。そして罪悪感の奥底に、(復讐の)満足感があることに気づく。
象による現場監督(スラッタリー)殺害は、新聞記事になる。目撃者女性(リーガン)がラジウム社と、労働者の安全性(被曝による健康被害)をめぐって法廷闘争中で、この件でショックを受けていることも伝えられる。
リーガンは工場長と話す。工場長はオレンジ工場の閉鎖を伝え、来週までに寮を出るようにと言い渡し、給与の小切手を渋々切る。トプシーが安楽死になることも告げる。
人間は自分たちの物語上の奴隷にちなんで彼女を(トプシーと)名付けた。そしてトプシーを鎖につなぎ、公開処刑のために連行した。
トプシーはラジウム社に買われる前にもサーカスで10人ほど殺害していたこと、今回の事件で、ルナパークでの電気処刑の公開が決まったことが報じられる。1月4日日曜日、午後8時の予定。
寮で荷造りをするリーガンは、トプシーの公開処刑の広告を見る。原子病が悪化し、体調はとても悪い。このあと実家に帰って死ぬだけの人生だと思いながら、ジョディの手紙を開く。
死を待っている彼女を見に、人間たちが集まってくる。
ジョディの手紙には、放射性物質を盗んでロッカーに隠してあるので、その鍵を預けると書いてある。ジョディやトプシーや自分に対するラジウム社のひどい待遇を思い、トプシーの復讐殺人に自分も快感を覚えたのを思い出したリーガンは、ジョディの鍵を箱から見つけ出す。
人間たちは彼女を導き、雷(電気)に彼女の物語を殺して分解せよと命じる。
リーガンは指定ロッカーから核物質入りの瓶を入手し、ポケットに入れ、コニーアイランドに向かう。
彼女は雷に、私たちの物語を話してくれと叫ぶ。
リーガンは作業員たちが建設作業中のルナパークに入り、電気タワーを通過する。原子病の症状が悪化して倒れていると、通行人に心配される。彼に象のいるテントの場所を聞いてそこに行く。子供たちが集まってトプシーをからかっている。リーガンは「おまわりが来たぞ」と叫んで人を追い払う。そしてトプシーに、「死を広げる種だ」といって、放射性物質の瓶を置き、どうせ死ぬのなら加害者たちを巻き添えにして死んだほうがいいのではないか、歴史の教科書に大々的に記録されるような事件にすべきではないかと、拡大自殺を勧めたうえ、その選択をトプシーに委ねる。トプシーは瓶を咥えこむ。
彼女は母たちを思う。ファーマザーを思う。最後の果実は、怒りではなく、学びと団結と教育の歌だと思う。人間たちに導かれ、瓶を口に咥えたまま進む。死の恐怖に足を止めるが、死んだ娘(リーガン)に付き添われ「私たちは」になると、恐怖が消える。彼女は、やり直しのための、団結と教育と集合の歌を歌いに、刑場へと向かう。
(この後、核物質テロが行われたと思われる)
3,未来
カットはアメリカ人の女子学生で、原子力象のアイデアを思いつく。
カットは象の代表と通訳を通じて交渉する。(原子力象のプラン実現のため)
象の代表はカットに、提案を吞んだら見返りに何をくれるのかと訊く。
カットは「大いなる善行」だと答えるが、それはラジウム工場で象に強制労働をさせる口実にも使われたと批判され、人類再教育を要求される。上司に相談すると答えると、取引材料もなしに交渉するとは恥知らずだと、呆れられる。
カットは象に山を与えると提案する。廃用の核実験場だったことは黙っておく。再教育キャンペーンについても相談してみると答える。
象の代表は、「輝きながら原子力の物語を伝える」という仕事を承諾する。ただし──
象の代表は、あくまでも物語を完全なものに復元するため、未来のため、「私たちは」を取り戻すために契約を吞むのであり、人間たちのためにするのではないことを強調する。
カットは自分の考えた「光る原子力象による番犬計画」が軌道に乗ったことに安心し、罪悪感を抑え込む。再教育プログラムは望み薄だが、象に正直に言う必要はない。メディア向けの宣伝コピーを、研究そっちのけで自宅にこもって考える。
カットは再教育プログラムを指導教授のティルユーに打診するが、大したことはできないだろう、合意書の文言にそこまでこだわる必要はないと軽くあしらわれる。「ソーセージの製造過程」を人に教える必要があるかないかで、二人は意見が対立する。カットはプロジェクトから手を引く可能性を匂わせながら立ち去る。
カットは研究書が待っている自宅に帰る気がせず、地下鉄で南のコニーアイランドへ向かう。車内でトプシーのアニメ絵のTシャツを着た少年を見かけ、コニーアイランドにトプシーの物語のフィナーレを見に行くところだろうかと思う。トプシーの公開処刑に伴う大惨事と、その後の訴訟も、時がたてば再編集されて、娯楽物語になってしまう。こうやってエントロピーは増大していくのだ。
カットはルナパークの記念タワーに到着する。トプシーの事件によってルナパーク建設は頓挫し、記念タワー建設に切り替わったのだ。犠牲となった放射線象と人間たちが祀られている。数十年たてば忘れ去られ、今はこんな風に、ただの目立たぬ不気味な、ありふれた観光オブジェでしかない。真実は捻じ曲げられて腐食するものだ。
引用:
灰色の山肌に埋もれた秘密がありました。そこに秘密を埋めた者たち、感覚よりも利発な思考を持つ、平らな顔をしたピンク色のキイキイ鳴く者たちは、骨があまりに脆いため、失われた八百万の母たちが耳をはためかせると、その骨はくしゃみの種となって散らばります。『深地下』から秘密をつかみ上げるには、長い鼻と、それよりも長持ちする記憶が必要です。彼らキイキイ鳴く者たちは、切羽詰まった警告を岩に刻んで残しましたが、岩は娘たちに語ることがなく、母系で数えること1万世代の昔に、肌を刺す雨が古い牙のごとくきれいに滑らかにすべてを洗い流してしまいました。
・・・
「ありがとう」彼女が言います。答えは期待していないし、すぼめた口から唸り声すら絞り出さないだろうと確信しています。「最後の質問です。トプシーですけど。彼女もほかの象と一緒に売るのですか?」
「安楽死になります」彼はまたもや彼女を無視する態度に戻っていました。「極めて重要な仕事」を手際よく処理しているんだぞ、と言わんばかりのあの態度に。
リーガンは、小切手と錫の象をポケットに入れ、見送りを待たずに外へ出ます。
・・・
トプシーは鼻を下に伸ばします。鼻を曲げたり伸ばしたりして、興奮した猫の尾っぽのように、先をぴくぴくさせます。一秒にも満たぬ一瞬、彼女は躊躇します。リーガンは思います。トプシーは瓶を受け取らないかもしれませんね。怒っている以上に悲しいのかもしれません。処刑は、歴史の教科書で、びっしり詰まった悪行のひとつとして、わずか一行で終わるのかもしれません。少女たちのひしめく工場で作られる毒物や、小さな神の平凡な公開処刑は、特に目を引くものとして記録するまでもないとばかりに。
けど、それはほかの誰かの、昔々の物語に過ぎません。優しく快活に──どんな魂も自らの死を扱うように──トプシーは小さな瓶を受け取り、口にくわえ込みます。
・・・
そしてたったこれだけの「私たちは」ですら、高い草へと恐怖を追い払うには十分なのです。彼女の心は落ち着きます。脚は動き出します。二人は連れ立って、水上を渡ります。人間たちを引き連れて。一緒に行きます。やり直しの、団結の、教育の、集合の歌を歌うために。
・・・
歌ってください雷、おお、母たち!
この汚れた地で、歌を歌ってください!
緑の稲妻のように輝き、数多の『八百万の母たち』が散らばります、『下』にあるものを忘れないでください、『前』に来たものを忘れないでください、歌ってください、『彼女の物語』を、雷のように、稲妻のように、多くの『輝ける八百万の母たち』のように、私たちは、彼女は、彼女を、私たちを。

2022年3月13日日曜日

未使用品☆南沙良(ドラゴン桜2 出演)★クリアファイル★宮沢りえ★ポッキー★グリコ★非売品

 家族によろしくGive the Family My Love  A・T・グリーンブラット【2019ネビュラ短編】

収録書:(Clarkesworld)オンライン無料
感想:地球が環境悪化で破滅に瀕し、愛のない妊娠をした女が恋人と別れ、最後の宇宙飛行士となって、リュウ博士の研究資料など地球を救うための資料を探しに、ライブラリーに行くという話。
再読したが面白くなかった。前回の感想では無理やり褒めているが、好きじゃない男とやって子供ができたから彼氏を捨てて銀河の果てまで地球破滅防止法を調べに行くというしょーもない話で少しも面白くない。
(無理やり褒めている初読時のホメ渡部的感想)荒廃した未来の地球。進んだエイリアン種族との接触はすんでいる。地球の未来に絶望する女宇宙飛行士(研究者)が恋人と地球を捨てて、先進エイリアンの銀河系情報ライブラリーをはるばる訪ねて行く。そこにアーカイブ化されている伝説の学者リュウ博士の研究資料を求めて。しかしそこで知ったのは人類よりはるかに進んだエイリアンたちですら、自分の惑星を破滅から救えなかったという衝撃的な事実だった。
リュウ博士の保存人格と対話し、情報収集と送信を続け乍ら、もはや地球へ帰れぬ彼女は恋人とその彼女に政府からの手当てとともに、心からの餞の言葉を贈る。
設定も筋立てもベタだが、暗い未来の中で必死に生き続ける女研究者の悲愴な孤独が伝わる佳作。
本作はバッドエンドと言えるが、ヒロインが恋人を捨てて研究に没頭する結末は潔くもある。★★★
点数:★★★
テーマ:私益と公益の関係、人類滅亡防止法
基調感情:絶望、悲壮、後悔、罪悪感、使命感
トピック:環境破壊、地球滅亡、エイリアン、銀河ライブラリー、仮想人格、恋人との別れ
関連作:ファウンデーション
キャラクター:ヘイゼル・スミス(私、宇宙飛行士、研究者)、ザウル(元恋人)、フアン(ザウルの新しい恋人)、ユミ・リュウ博士(昔の地球人学者及びその仮想人格)、ライブラリー職員たち=アーカイビスト(先進エイリアン)
環境:銀河系の果ての荒廃した惑星上のライブラリー施設。地球は山火事などで荒廃、破滅目前。解決法を研究していた女性科学者の資料も燃えた。ある地球人の女が恋人と別れて銀河の果てまではるばる文献調査にやってきたのだが・・・
ミッション:銀河ライブラリーでユミ・リュウ博士の研究資料を見つけ出し地球を破滅から救え!
結果:失敗。リュウ博士の仮想人格は研究材料を渡すのを拒否。それでも主人公は情報を集めて地球に送り続けなくてはならない。
一行梗概:好きじゃない男とやって妊娠した女が恋人を別の女に譲り、荒廃する地球を救うため焼失した女性科学者の研究資料などを探しに銀河の果ての先進エイリアンのライブラリーへ行き、先進エイリアンですら自分の惑星を救えず滅びたと知ってショックを受けるが、科学者のデータ人格と対話しながら地球破滅防止のためのデータを地球に送信し続け、恋人に自分のもらった報奨金を全部贈与し、家族によろしくとメッセージを送る。
四行梗概:
私は恋人と別れ、先進エイリアンが運営する銀河系の果てのライブラリーに、地球の環境保全に関するユミ・リュウ博士の研究資料を探しに行く。
ライブラリーの内容は地球人類の水準をはるかに凌駕するもので私は驚愕するが、そんなエイリアンですら自分たちの惑星を守れなかったと知りショックを受ける。
私はようやくリュウ博士の仮想人格と対話するが、地球の未来に対する悲観を指摘され、博士から資料の開示を拒否されてしまう。
私は地球に帰還できず死ぬまでここで調査を続ける運命をあらかじめ悟っていたから、別れた恋人へのメッセージで、「政府から出た補助金をあなたに贈る、新しい彼女とよろしくやってね」と相手を祝福する。
引用:
私は自分のした人生の選択を後悔し始めているのです、ザウル。それでも、銀河の端から挨拶をしましょう。
そして、びっくりしました! 「連絡を絶やさないでくださいよ」とあなたが言ったとき、こんなことは想像してなかったでしょう。・・・
・・・
私はあなたに言いました。最後の恐るべき常套句を知っています、最悪のものですよ、と。そこでは宇宙飛行士は生きて帰りません。
ザウル、私はそのお金を、あなたとフアンがいつも求めていた家族を作るのに使ってほしいのです。
正直に言いますけど、私はまだ、地球を救える自信を持ってはいません。でもあなたはそう信じていますし、私にはそれが心強いのです。だから私は研究をし、見つけた情報を地球に送る作業を続けていられるんです。きっと私とあなたの関係は、それで十分だと思います。
だから、ご家族によろしくお伝えください。私の心からの愛を贈ります。

ジョージ・ワシントンの義歯となった、九本の黒人の歯の知られざる来歴The Secret Lives of the Nine Negro Teeth of George Washington フェンダースン・ディエリ・クラーク

ジョージ・ワシントンの義歯となった、九本の黒人の歯の知られざる来歴The Secret Lives of the Nine Negro Teeth of George Washington フェンダースン・ディエリ・クラーク(ネビュラ)

収録書:Fireside Magazine/SFM202006
感想:これ読んだ時点では東欧的な幻想小説だなあと思ったが、同じ作者の「リングシャウト」は全然違って驚いた。共通点は史実(主に黒人差別ネタ)を使って架空の幻想ギミックを紡いでいくところ。SFかというとちょっと違うが、スペキュレイティヴだし、短編集で1冊分まとめて読んでみたい作家のひとり。
(初読時感想)ジョージ・ワシントンが黒人の歯を買って義歯に使ったという史実をもとに一つ一つの歯の持ち主についての妄想を膨らませた小品で、途中から様々な魔術的、ファンタジー的なエピソードが紛れ込む。教訓だのなんだのが含まれているわけではなく淡々と叙述するだけなのが逆に深みを感じさせて楽しめる。
点数:★★★1/2
テーマ:虚構と現実の相互関係
基調感情:幻想、憐憫、同情
トピック:ジョージ・ワシントン、黒人の歯にこもる人生史、奴隷、魔術師、別世界、奴隷解放。
関連作:リング・シャウト、地下鉄道、時を飛翔する女、リンカーン列車
キャラ:ジョージ・ワシントン(大統領)、ボニーマン(イバニ王国奴隷)、トム(ムラートの奴隷)、ヘンリエッタ(黒人女)、ソロモン(別世界から来た黒人奴隷)、ユリシーズ(黒人コック)、エマ(奴隷女)。
視点:神の視点・3。
設定:合衆国初代大統領ワシントンは自分の入れ歯に黒人の歯を使っていた。しかし、その歯の元の持ち主の苦難の記憶が、歯を通じてワシントンに悪夢を見せ・・・
ミッション:黒人の歯がワシントンに与える影響を見極めろ!
結果:9人の歯は様々な苦しみをワシントンに味わわせ、ついには奴隷解放を決意させるものの、それぞれの歯の持ち主には何の関係もなかった。
一行梗概:ジョージ・ワシントンは黒人の歯を入れた入れ歯を使っていたが、その歯の持ち主である黒人たちは、鍛冶屋、イバニ王国奴隷、逃亡奴隷、悪夢にうなされる女、ヘスの傭兵部隊に加わって死んだ魔術師、別世界人、精神に影響を与える茶を調合するコックなど、それぞれに苦難の経歴の持ち主でワシントンに悪夢体験をさせ、とりわけエマという奴隷女の歯の影響は甚大で奴隷解放を遺言させるが、歯の持ち主たちには何の関係もなかった。
四行梗概:
ジョージ・ワシントンは黒人の歯を9本買っていたが、その歯の元の持ち主には様々な人間がいた。
1本目は鍛冶屋、2本目はイバニ王国の奴隷、3本目は逃亡奴隷、4本目は悪夢に魘される黒人女、5本目はヘスの傭兵部隊で戦闘中に死んだ魔術師、6本目は別世界から来た黒人、7本目は奴隷商人、8本目はユリシーズという人を変えるお茶を調合できるコック、9本目はエマという奴隷女のものだった。
ジョージはそれらの歯をつけることで、持ち主の魂に操られて様々な不思議な体験をした。
ジョージはエマの歯をつけることで心を乱され、遺言で妻の死後に奴隷を解放すると約束したが、黒人の歯は解放されなかった。
詳細梗概:

ジョージ・ワシントンのために購入された一本目の黒人の歯は、鍛冶屋のものだったが、鍛冶屋の技術は海を越えて自らの子孫を探しに来た先祖たちの魂を受け継いだものだった。長老の奴隷たちがアフリシーと呼ぶ過去の時代、鍛冶屋は地中から鉄を掘り出し、炎と魔術で加工する人々として尊敬されていた。槍や刀を作る人たちだ。その歯をつけるとき、ジョージ・ワシントンは昼も夜も金床に打ちおろされるハンマーの重い響きが聞えると苦情を言い、マウントヴァーノンでの一切の鉄加工の中止を命じたが、鍛冶屋のハンマーの音はあいも変わらずジョージのおつむの中で鳴り響き続けた。

ジョージ・ワシントンが手に入れた二本目の黒人の歯は、イバニの王国の奴隷から来たものだ。ボニー・ランドと呼ばれる国で、ボニーマンと呼ばれた。ジョージ・ワシントンがボニーマンの歯をつけるときには、思わず知らず知らない歌を鼻歌で歌っているのに気付いた。

ジョージ・ワシントンの3本目の黒人の歯は、のちにマウントヴァーノンから逃げだした奴隷から買ったものだった。ムラートの男、名前はトム、25歳ぐらい。トムの歯はしょっちゅう、入れ歯から外れた。

ジョージ・ワシントンの4本目の黒人の歯はヘンリエッタという女の物だった。ヘンリエッタの歯をつけると、時々夜に恐怖に悲鳴を上げて目覚めた。

ジョージ・ワシントンが手に入れた5本目の黒人の歯は、マウントヴァーノンの奴隷にはリストされていない魔術師の男から、説明できぬ手段で手に入れたものだった。魔術師は奴隷とともに解放され、ヘスの傭兵部隊に入れられたが、その後狩られた。生き残った魔術師ハンターの一人が、魔術師の歯を戦闘の記念に引き抜いた。

ジョージ・ワシントンの6本目の黒人の歯は別世界からここへ転げ込んだ奴隷の物だった。暴露しようとした魔術師が暗殺された。ソロモンは魔術を何も知らぬと言い張った。自分は異国から来たにもかかわらず、彼らとの「密接な絆」で結ばれていると感じると告げた。

ジョージ・ワシントン用に買い取られた7本目の黒人の歯はアフリカの黒人のもので、自らが元々は奴隷商人であった。彼は自分が奴隷船の倉庫に鎖でつながれると絶望に半分狂った。黒人奴隷商人の歯はジョージのお気に入りだった。

ジョージ・ワシントン所有の8本目の黒人の歯はコックのもので、コックはユリシーズという名だった。ユリシーズは自分の仕事を、自分の名前と同じぐらい真剣に受け止めていた。彼の最初のお茶の変性実験は、ワシントンの賓客の食欲を増進させただけだった。客たちは貪欲になるあまり、カトラリーを放り投げて料理を手づかみして口に野獣のように押し込んだ。何年にもわたりユリシーズは、人を変えるお茶の選択に慎重だった。1797年初頭某日に、ユリシーズ失踪。ワシントン家の人たちは慌てふためき、至る所で失踪コックを捜しまわった。ジョージ・ワシントンが逃亡コックの歯をつけるのは、ディナーパーティーでだった。奴隷たちはジョージがキッチンに入って行くのを見守ったものだ。

ジョージ・ワシントンが買った9本目にして最後の黒人の歯はエマという奴隷女のものだった。エマも、主人から切り離された自分の空間を見つけ出す術を学んでいて、友人を持ち、恋をし、結婚し、泣き叫び、闘い、ワシントン家と同じぐらい生き生きしたコミュニティに救いを見出した。ジョージ・ワシントンがエマの歯をつけるとき、その魔法のいくぶんかが彼の内部を侵襲し、おそらくは彼の魂をいささか掻き乱した。1799年7月、死ぬ6か月前のこと、ワシントンは遺言の中で宣言した、エマを含め、自分が所有する123名の奴隷は、妻の死と同時に解放されると。しかしこの宣言は、なお彼が所有している黒人の歯に対しては適用されなかった。
引用:
ジョージ・ワシントンのために購入された一本目の黒人の歯は、鍛冶屋のものでしたが、この鍛冶屋はまさにあの年、激動の中、マウントヴァーノンで亡くなりました。鍛冶屋の技術は彼の血筋で──海を越えて自らの子孫を探しに来た先祖たちの魂を受け継いだものでした。長老の奴隷たちがアフリシーと呼ぶ過去の時代、鍛冶屋は地中から鉄を掘り出し、炎と魔術で加工する人々として尊敬されていました。空を貫く奇跡のような槍や、山を破壊するほど美しい刀を作る人たち。・・・
・・・
ジョージ・ワシントンがエマの歯をつけるとき、その魔法のいくぶんかが彼の内部を侵襲し、おそらくは彼の魂をいささか掻き乱しました。1799年7月、死ぬ6か月前のこと、ワシントンは遺言の中で宣言しました、エマを含め、自分が所有する123名の奴隷は、妻の死と同時に解放されると。しかしこの宣言は、なお彼が所有している黒人の歯に対しては適用されなかったのです。

2022年3月12日土曜日

人間のしみA Human Stain ケリー・ロブソン

 人間のしみA Human Stain ケリー・ロブソン(ネビュラ)

収録書:(Tor.com 1/4/17) 、Alias Space and Other Stories、The Best Horror of the Year: Volume Ten、Nebula Awards Showcase 2019
感想:初読時と感想同じ。ザルツブルク経由だからドイツじゃなくオーストリアと思われる。
(初読時)人間に化けた海蛇一族に騙された女がドイツの湖畔の家で洗脳されて餌にされる話。ネビュラ賞受賞作ではあるが内容は完全に古風なホラー小説である。
点数:★★★
テーマ:人に似た怪物
基調感情:不安、恐怖
トピック:古城、湖、海蛇(人間)、洗脳
関連作:人魚の歌が聞こえる他
キャラ:ヘレン(家庭教師)、ベルヒェン・ランブレヒト(依頼人)、ミミ(育児係)、執事、コック、ピーター(ベルヒェンの甥)、父母(今は湖の蛇)、兄弟(地下の幼虫)。
視点:ヘレン・3
設定:時代不詳も同時代? オーストリアらしき山中のメーレ湖畔の古城。死んだ男の弟に頼まれて、幼児の家庭教師に来た女。だが使用人はみな陰気で、育児係の娘は歯が崩壊、当の幼児は鍵のかかる地下室のドアの向こうの死んだ母に会いたがる。そこら中に小さな歯や骨が落ちていて、湖には巨大な蛇が・・・
ミッション:幼児を教育しろ!
結果:幼児はなかなか言うことを聞かず、実は人間でなく、歳を取れば巨大な湖の蛇になってしまう怪物だとわかる。女は騙されて連れてこられたのだ。同じようにして洗脳された育児係はついに発狂して蛇(幼児の両親)に食われる。女もまた洗脳されてしまう。
一行梗概:騙されて蛇人間の子の家庭教師に雇われた女が洗脳され、やがては蛇の餌となるだろう。
四行梗概:
貧乏な女がある男から、死んだ兄の幼い息子の家庭教師を頼まれて、オーストリア山中の湖畔の別荘に行く。
家には歯のない育児係の女がいて、そこら中に骨や歯が落ちていて、湖に巨大な蛇がいて、地下には家族の墓があるらしいが、ドアに鍵がかかっていて、子供はその向こうの、多数の子をはらんで死んだという母親に会いたがる。
父母がだいぶ昔に死んだと子供に聞き、最近死んだという話と違うと怪訝に思った女が、地下室の鍵を開けると中には水たまりと小さな穴がたくさんあり、骨や歯がたくさんあり、地虫がいて、少年が虫に兄さんと呼びかける。
女は地下室から子供を連れ出すが、その夜育児係と少年が地下室に消えたので追って行くと、育児係が発狂して暴れ出し湖に落ちて蛇に食われ、その它は少年の両親と判明、女自身も頭がおかしくなって地下室のドアを食い破って歯が崩壊、やがて育児係と同様に蛇人間の餌となる運命が暗示される。
詳細梗概:
1
金に困ったヘレンが、ベルヒェン・ランブレヒトという男の依頼で、アルプスの山中のメーレ湖畔にある死んだ兄の息子ピーターの家庭教師に雇われる。ミミという女中は可愛い娘だが口の形が変で、とても内気。ベルヒェンはここに着いた後、悲しみに引きこもりがちだ。ピーターは6、7歳ぐらいのおとなしい子。文字ブロックで遊んでいる。ピーターがいなくなったので探す。
2
ピーターを探しながら家の中を見て回る。2階のベッドの下で羊のあばら骨を見つける。1階の書斎の向かいの客間の窓にPETER(ピーター)と大文字で書く。絨毯の下に2つの小さな骨がある。ダイニングルームで子豚の丸焼きの骨も見付け拾う。
キッチンにコックの老女と執事がいる。ピーターは見かけない、厨房には出入り禁止だという。トランクを運ぶように頼む。
3
地下の冷凍室の裏でピーターを見つける。2本の指をドアの下に突っ込んでいる。ドアの下から何かを引きずり出して口に入れる。小さな骨だ。「ママ」といってすすり泣く。上に連れて行き、ミミに委ねる。
4
ベルヒェンはディナーの席で、兄の書類が多すぎて困っているとぼやく。ミューニヒに2日ほど相談に行くという。ミミを呼び、ピーターの様子を確認する。ミミの歯が何本か欠けているのに気づく。ピーターの前歯の一本が抜けかけているので、ベルヒェンが抜こうとするが、ピーターが拒む。
5
夕食のあとテラスに出て湖を眺める。黒い物体を見つける。ベルヒェンはただの丸太という。ベルヒェンはヘレン自身が3ヶ月前に借金のかたにした銀のたばこケースを返す。一族の歴史について聞き、ピーターの母のことを聞く。腹が大きく膨らみ、異様に多数の子をはらんだ、今は父母も兄弟もみな死んで地下に葬られているという。ベルヒェンもいずれ、そこに入るそうだ。ミミの口についてきくと、事故らしいとはぐらかされる。
6
ベルヒェンは翌朝出発する。何かから逃げるように湖を漕ぎ渡ってた。テラスの端に座るピーターを見つけ、危険なのでやめろと諭す。ピーターに指を口に突っ込まれて転倒し怪我する。ミミに手当てしてもらう。ピーターはママと言って泣いている。父母はずっと昔に死んだという。
7
コックと執事は、父母の死期について本当はいつなのかと訊いても、明答しない。地下室へ行く。ドアの下に骨や歯を見つける。ピーターは自分の歯ではないという。地下室の鍵はミミも持っていない。
8
ヘレンはミミとピーターにディナーを運び、二人を育児室に閉じ込め、テラスで飲酒中、湖の黒いものが巨大な蛇なのを見る。
9
蛇のことをコックや執事に訊いても白を切る。地下室のドアの鍵を開けようと試みているところへ、抜け出したピーターがくる。ドアの向こうにママがいるという。ドアをあけてはいると、地下墓地ではなく、通路は幅広い洞窟に通じていて、壁には人間の大きさの小部屋が蜂の巣のように並んでいて、小さな骨がいくつも埋め込まれている。血色のない薄いピンク色の蜘蛛の巣で覆われている穴もある。洞窟の底では、油ぎった幅の広い水たまりが揺れて波打っている。ピーターは穴から地虫をつかみだし、「兄さん」と言う。ヘレンは地虫をピーターの手から叩き落とし水たまりに落とす。ピーターを連れ出しドアを閉める。
10
ピーターを寝かせ、ミミに説教する。ちゃんと守ってやれ、出さないようにしろと。しかし、未明の4時に目覚めるとミミもピーターもいない。地下室に行く。二人ともいる。ミミはのけぞって絶叫し、舌は大きく開かれた喉、かつては娘の顔だった洞穴のような口から逃げようと血を流す生き物だった。ピーターをつかんで走り出すミミから、ピーターを奪い返すと、ミミはテラスを渡って、湖に落ち、蛇に食われる。
11
湖の蛇は変身したピーターの父母だった。ヘレンはもはや蛇たちに支配され、ピーターを世話している。手記を書こうとしたが、地下室のことしか考えられなくなり、地下室へ行き、食い破って進む。ピーターがヘレンを地下室から引っ張り出し、ヘレンの歯や顎だったものを針金で結んでぎゅっと縛る。もはやヘレンは蛇人間たちに支配され、ピーターの世話をしてから食われる運命だった。
引用:
ピーターの小柄なフランス人の乳母はまさにヘレンお気に入りのタイプの薔薇色の頬の娘でしたが、口にどことなく妙なところがありました。人見知りで無口でしたが、それは問題ではありません。ヘレンはひとりだけで会話を続けることができますから。
「ひどい旅だったんですよ。パリからシュトラスバーグまではずっと揺れたけどけっこう早く着いた、でもミューニヒまでは列車よりも徒歩のほうが早く着いたと思いますね。そしてザルツブルグ! 列車がロバに追い抜かれたんですよ」
・・・
手が不器用すぎてドアを開けられなかったが、大して問題ではありません。食い破って進むことができました。匂いそれ自体が十分な栄養です。一噛み一噛みが神の贈り物です。ヘレンはその中で溺れました。自己を放棄して心は糸でぶら下がっている状態になりました。
ピーターが地下室から引っ張り出すとヘレンの世界は崩壊して痛みと化しました。ヘレンは少しためらいましたが、逆らえませんでした。ピーターを傷つけるかもしれないのですから。ヘレンの歯や顎だったものをピーターが針金で結んでぎゅっと縛ると、光がヘレンを去り、呼び声が後退し、家が暗くなりました。
「もう大丈夫ですか、ミス・ヨーク?」ピーターが訊きました。
「ウイ」ヘレンは言いました。

2022年3月11日金曜日

アプリリア エリア51 ZD4MYF000WS00 ラジエターカバー Z14-27

 茶匠と探偵The Tea Master and the Detective  アリエット・ドボダル(ネビュラ)

収録書:kindle532/kobo608/『茶匠と探偵』竹書房
感想:初読時の感想とほぼ同じ。翻訳は高いので未読。
(初読時)船を操る生物、シップマインドの女が主人公。彼女は軍で事故にあい除隊、今は薬茶の調合業をしている。そこへ難破船から死体を探したいという探偵業の女が茶の調合を依頼する。女は難破船から女性の遺体を発見。調査の結果、尼僧院にやとわれていた女がシップマインドの船で亜空間に飛び出し遭難していたことがわかる。系外系の教会が古いシップマインドを使って教え子を訓練のため亜空間に行かせていたこと、遭難して重篤なトラウマを負った娘がいたこと、その担任教師が女探偵だったことがわかる。しかし実は、女探偵は娘を親の干渉から逃れさせるために失踪に手を貸していたことが判明。尼僧院の娘がその時の教え子と似た境遇のため同情し、亜空間飛行のシップマインド船に忍び込み、亜空間訓練を強いられている娘を救出する。
過去のプロットと現在のプロットが呼応するようで必ずしも合っておらず、ミステリとしては正直詰めが甘いし、陳腐な人間ドラマ、モラルのテーマが鼻にもつくのだが、主人公のシップマインドのキャラ設定が見事。標準以上の娯楽作になっている。
点数:★★★1/2
テーマ:未来宇宙における人権擁護、SFミステリ
基調感情:使命感、正義感、人間愛、義憤
トピック:シップマインド、深宇宙飛行、薬茶調合、機械共生生物、難破船、宗教団体、尼僧院、訓練、監護者による児童虐待、探偵、捜査、救助ミッション。
関連作:叛逆航路、マーダーボット・ダイアリー。
キャラ:シャドウズ・チャイルド(主人公。シップマインド、機械と人の中間生物で宇宙船のAIでありつつ、アバターを通じて薬茶調合業を営む)、ロン・チャウ(依頼人、自称探偵、元オアインの教師)、バオ(大家、友人)、桃園三賢(男性シップマインド)、鋳鋼針(友人の男性シップマインド)、クエ(尼僧院経営者)、ハイ・アイン(死んだ尼僧院の少女)、タイェット(その同室の少女)、チャン・ティー・キム・オアイン(失踪した少女)、チャン・ティー・カム(死亡記録管理官)。
視点:シャドウズチャイルド・1。
設定:遠い未来、宇宙。人類が宇宙植民、大越人の末裔がおそらくは遺伝子改良により船のAIとなることのできる機械共生生物にシップマインドとなって、船を操っている。欧米の流れをくむ銀河連邦と対立関係にあったが、今は講和していると思われる。かつて公務に従事していたが深宇宙での事故で故障し引退、今はアバターを使った薬茶調合業を営むシップマインドが主人公。彼女のもとへ女がやってきて、深宇宙航行中の集中力を維持する薬茶の調合を依頼する。主人公は自らが船でもあるため、深宇宙への同行を条件に受諾するが、女は深宇宙で難破船から女性の遺体を回収する。女は実は探偵だと打ち明け、どうやら訳ありのようだ・・・
ミッション:依頼客の行動の謎を暴け+虐待されている少女たちを救え!
結果:調査の結果、尼僧院で訓練と称して少女たちを深宇宙に行かせる虐待が行われていること、依頼者はある少女の家庭教師で、少女を軍に入れ出世させようとする両親から少女を救うため失踪を装って逃がしていたことが判明する。主人公は、尼僧院の別の少女の深宇宙訓練に依頼者が同行するのを追いかけ、二人を救出する。
一行梗概:シップマインドが元教師の探偵とともに、尼僧院が子供を訓練と称してマインドシップで深宇宙に行かせる虐待を行っている実態を暴き、元教師が教え子を支配的な親から救うため偽装失踪に手を貸していたことを知り同情、同じ境遇にある別の少女を深宇宙訓練から救い出す。
四行梗概:
薬茶調合を営むシップマインドが、調合依頼をした探偵の深宇宙探査に同行し、難破船から遺体を発見する。
調査の結果、尼僧院が子供を訓練と称してマインドシップで深宇宙に行かせる虐待を行っている実態を暴く。
探偵が実は元教師で、教え子を支配的な親から救うため偽装失踪に手を貸していたことを知り同情する。
同じ境遇にある別の少女を深宇宙訓練から救い出す。
詳細梗概:

シャドウズ・チャイルドはシップマインドだが事故に遭って退役し、薬茶調合を業としている。ロン・チャウという女がそのアバターに依頼に来る。深宇宙に行く必要があるが、目覚まし薬の副作用で頭がぼやけ、視野が狭くなるのを防ぐ茶を調合してほしいという。承諾する代わりに、深宇宙へ同行し身体検査をすることを条件とする。チヤウはシャドウズチャイルドの深宇宙事故のことも知っていた。深宇宙へは死体を探しに行くという。

シャドウズチャイルドの借りている部屋の管理人バオが来て、収入が少ないのを心配し、安い部屋に移るか、輸送の仕事に移るかしたほうがいいのではと言うが、断る。二人とも小説好きなので、最近読んだ面白い本の話をする。

チャウを乗せて調合した茶を飲ませ亜空間に入る。5年前、亜空間で無人のまましばらく漂流した事故のことを詮索される。乗客を乗せたまま死んだ桃園三賢号も同じころ遭難したのだが、その船を発見する。中年女の死体が見つかり、チャウの希望で回収する。チャウが死体を見分し、高価なシャドウスキンをつけていることから、船内で死んだのではないと推理する。どこか別の場所で死んで流されてきたのか。執政官に通報するとともに、いくつか調べたいことがあるという。彼女は政府に相手にされない相談を受ける探偵業務をやっているらしい。ただこの件に関しては、自分の興味で調べているそうだ。

遺体を役所に引き渡す。オフィスに戻り、チャウの身元調査をすると、6年前にいきなり出現している。過去の履歴がない。頼りになる先輩シップマインドの鋳鋼針に相談する。シップマインドの間でチャウの評判は悪いから、関わらない方がいいという。詳しい身元は分からないが、ベルト内の人間で、政庁に逮捕されて拷問されていた疑いがある。だから自白剤の効果を消す薬を飲んでいるのかもしれない。今後も引き続き情報提供を頼む。

チャウがいきなり訪ねてくる。遺体の身元がわかったという。パム・ティー・ハイ・アイン、杏花居住区の内輪の保守作業員だった。死亡記録の管理者とチャウは友人らしい。死因は不明だが、深宇宙に転げ込んだ時点では元気だった。非現実空域の圧力で意識を失い、死亡した。軍より先に事実を明らかにしたい。軍や政庁の捜査は雑だから真実が闇に葬られかねないと。杏花居住区への聞き取り調査にシャドウズチャイルドも同行することになる。

チャウはシャトルで行き、私がそれを追尾することになる。チャウに特権的アクセス権を付与する。「塩無き繁栄の家」という尼僧院が死者の働いていた施設だ。チャウが入り、私はアバターで同行する。クエという老婆が応対する。深宇宙で難破船の回収作業をして、品物を売っているという。彼らが軌道居住帯を支配している。ホ一族や他の内地居住区の氏族と対立しているのではと水を向けると否定する。なぜ高価なシャドウスキンをつけさせてまで雇っていたか追及すると、新しい人を雇用するよりも結局は安上がりだからだという。

ハイ・アインの部屋に行く。部屋には持ち物がそのままで、長期の旅行に出かけようとしていた気配はない。タイェットに話を聞く。ハイアインは単独行動は多かったという。尼僧院と通信を絶ち、部屋にも強力な暗号ロックをかけているので、クエに監視されたくなかったのでないかと追及する。クエは保護した女たちを結束させるため過度に干渉し支配しようとしていたのでないか。聞き込みをしながらシャドウズ・チャイルドはネットの情報を集める。尼僧院に四悲士号というマインドシップもいたことがわかる。そのマインドシップは危険だから気をつけろとタイェットに忠告する。タイェットはマインドシップが殺したのではないと否認する。

四悲士はBS教会の教義を信じてるんじゃないか。信者を儀式で深宇宙に送り込む教会だ。チャウによると、彼は十歳の女の子を罰として深宇宙に取り残したことがあるという。四悲士は名前を変え、ハビタットからハビタットへ客を運んでいたらしいが、その後ここで見つかったというわけだ。四悲士は定期的に、深宇宙にはいる許可を求めており、背後にクエがいる。なぜハイアインは非現実スーツなしで深宇宙に入ったのか。チャウは四悲士を見に行こうという。シャドウはチャン・ティー・キム・オアインの名を出し、チャウがその教師だったことを追及する。その件で彼女が政庁に尋問され、結局無罪放免となったことを。チャウは黙秘する。

オフィスに戻る。バオに電話する。チャン・ティー・キム・オアインと、財閥の金鯉チャンについてきく。16歳のオアインは過保護に育てられ嫌がっていて、教師だったチャウが家族に意見して嫌われたという。まもなく、キム・オアインが失踪した。その後、チャウが人身売買の業者から多額の金をもらったが、結局それ以上の証拠が出ず、チャウは無罪放免となったという。シャドウがもらった報酬はその金ではないか。チャン・ティー・カムという死亡記録管理官から検死報告書が届く。分解は、事実上、深宇宙で停止していた。チャウから連絡、四悲士で密航しているという。タイェットやクエたちも乗っている。シャドウに助けを求める。キム・オアインは軍に入りたがらなかったので、失踪させてやった、今も生きて連絡を取っている、金を払ったのも本人だとわかる。タイェットはキム・オアインと似ているから助けたいという。シャドウは亜空間に入り、亜空間に放置されているタイェットを救出する。
10
タイェットを病院に入れ、軍に通報する。クエにタイェットの生存を伝える。クエが恭順でないタイェットやハイ・アインのような人を支配するため、非現実スーツ無しで亜空間に放置する拷問をしていたとわかる。
11
チャウとオフィスに入って話す。奇妙な友情が芽生える。
引用:
新手の顧客が顧客用の椅子に座って、シャドウズ・チャイルドをまっすぐ見ていました──両手は重ねておらず、脚をチュニックの翡翠碧の繊維の下で組んでいます。チュニックはもともとは高級品で、エレガントに見え、様々な縫取りをあしらっていますけれども、継ぎはぎされているし、縫取りも、少なくとも5年以上前のものです。「真珠敷」ベルト地帯のような田舎の停滞地ですら、物笑いの種になるほど古いものです。客の肌の色は浅黒く、鷲鼻です。しゃべるアクセントは、完膚なきまでに「内地住人語」です。「私の名はロン・チャウ、あなたは瞑想の茶匠として著名でいらっしゃいますね。そこで一つお願いしたいと思いまして」
・・・
友として。「喜んで」シャドウズ・チャイルドは言いました──そして自分が本気で言ったことに驚いたのです。

2022年3月10日木曜日

空への長い落下The Long Fall Up  ウィリアム・レッドベター

 空への長い落下The Long Fall Up  ウィリアム・レッドベター(ネビュラ)

収録書: (F&SF 5-6/16)kindle817unlimit、A Lone Star in the Sky: A Future Classics Anthology: Volume Two、Nebula Awards Showcase 2018
感想:読み直して評価アップ。命がけで無重力出産する女の動機がいまいち不明も、隠蔽体質の大企業と、戦う主人公というベタな構図で手堅くまとまった冒険ミッション小説になっている。
【初読感想】
無重力出産を敢行する女を阻止する任務に赴いた男が、雇主の不当な目的に気づき抵抗、死んだ女から赤ん坊を回収し、彼を守る決意をする。宇宙SF設定の人間ドラマ。SFというのが宇宙や未来を舞台にした普通小説に過ぎないことがわかる。
点数:★★★1/2(初読3)
テーマ:独占資本との戦い、自由闘争、宇宙ミッション
基調感情:使命感、正義感、義憤
トピック:無重力出産、ナノロボ、宇宙ステーション、宇宙船AI、ロケットバイク、アティテュードスラスターほか。
関連作:ウォルドゥ、もし星が神ならば、シップメイカーなど。
キャラ:私=イェーガー・ジン(宇宙飛行士)、ヴェロニカ・ペレス(科学者)、エルネスト(その子)、フイジュ(船のAI)。
視点:イェーガー・1。
設定:未来、人類は太陽系に進出し宇宙ステーションを建設。チンシャンステーションをチンシャン者社が牛耳っている。無重力出産を規制しようとする社に反発する科学者が、法の目をかいくぐって無重力出産を試み、これを阻止するために宇宙飛行士が派遣されるが・・・
ミッション:会社の暗殺指令に背いて、女科学者と赤ちゃんを助けろ!
結果:科学者は死んだが赤ちゃんは救出成功。無重力出産違法化を食い止めるという科学者の遺志は恐らく実現するだろう。
一行梗概:無重力出産違法化をもくろむ宇宙開発の独占企業に反発して、違法ナノロボを使った無重力宇宙船内での妊娠出産を試みる女科学者を抹殺するため派遣された宇宙飛行士が、会社の意向でなく社員の独断による暗殺ということにして会社への大衆の批判をかわそうとしていることを知って憤慨し、会社の指令に大っぴらには背けない船のAIが可能な限り提供する情報を使って、最大限に知恵を働かせ、科学者の船を破壊する装置をミサイルで破壊、船の進路をそらせ、自作の「ロケットバイク」に乗って自分を打ち出し、科学者の船に乗り込んで、赤ん坊を救出する。
四行梗概:
無重力出産違法化をもくろむ宇宙開発の独占企業に反発して、違法ナノロボを使った無重力宇宙船内での妊娠出産を女科学者が企てる。
女科学者を抹殺するため宇宙飛行士が派遣される。
会社が自分たち意向でなく社員の独断による暗殺ということにして大衆の批判をかわそうとしていることを知って、宇宙飛行士は憤慨する。
宇宙飛行士は、会社の指令に大っぴらには背けない船のAIが可能な限り提供する情報を使って、最大限に知恵を働かせ、科学者の船を破壊する装置をミサイルで破壊、船の進路をそらせ、自作の「ロケットバイク」に乗って自分を打ち出し、科学者の船に乗り込んで、赤ん坊を救出する。
詳細梗概:
1.科学者ヴェロニカ・ペレスはチンシャン宇宙ステーションを経営するチャンシャン社の規則に逆らって、無重力の宇宙船内での出産を企図した。ヴェロニカはたびたびビデオメッセージを送ってくる。チンシャンの宇宙船パイロットとして働く私、イェーガー・ジンは、宇宙船AIのフイジュの助けを得ながら、ヴェロニカを阻止する任務へ派遣される。現地への距離は出発時でおよそ60日。
2、現地まで52日12時間4分後。ヴェロニカからの2番目のメッセージを見る。ヴェロニカははらんでいる子が奇形でなく正常だと主張する。遺伝子操作してはいないと。宇宙に暮らす人はみな機械やナノマシンを利用している、生まれつきそのすべてを利用するというだけで差別されるいわれはないと。
3.47日2時間51分前。私の船がヴェロニカを追っていることが太陽系中に知れ渡る。ヴェロニカと子供を殺すという任務が倫理的に妥当かとフイジュに言われ、私は「子供が一生の苦痛を感じなくて済む」と答えるものの、正直よくわからない。本部から指令の変更はない。なぜ最寄りにいるわけでもない私をあえて選んで派遣したのだろうか。会社の真意がわからないことも不安の一因だ。
4.41日7時間11分前。ヴェロニカから直接の通信が来る。私と話したいという。私は返信しようとするが、フイジュに阻まれる。本社の許可がないとだめらしい。ヴェロニカは私が派遣された目的を知りたがっている。
5.35日1時間27分前。私が目覚めると、フイジュが本社命令によりFL239妨害デバイスを発射したと告げる。フイジュが本社広報間のマスメディア向けのビデオを見せる。本社は、私がヴェロニカの抹殺ではなく、救援のために向かっているという嘘を公表していた。暗殺のためだと公表すると批判が上がることは必至だからだろう。だがわからないのはなぜそこまでして殺したいかだ。口では任務だからやらねばならないと言いつつも、私の心の中には蟠りがある。FL239は既にリモートでシャットダウンすることはできないが、フイジュの指令反応プロトコルのファイルを読めば何か方法があるかもしれない。私はフイジュにファイルを表示させる。
6.30日10時間19分前。船が向きを変え減速準備を始める。私はフイジュにアンテナの停止と、ミサイルを妨害デバイスに向けることを指令する。フイジュは後者につき指令違反だと指摘するが、指令は「支援目的」という本社広報の発表と矛盾するから、デバイス発射は過失と推認できると反論すると、フイジュは納得し、ミサイルを発射する。
7.27日7時間40分前。私は寝台に横たわったまま、様々なニュースに目を通している。ヴェロニカの新たなビデオメッセージで、彼女はチンシャン社の不当な独占と、虚偽を用いた無重力出産違法化運動を批判していた。ヴェロニカから私へのメッセージはその後ない。本社からのメッセージがあり、「広報の発表は無視し、当初の指令通りの行動しろ」という内容だった。なぜ公表発表に従って行動していることがばれたんだ? フイジュはアンテナがオンとなった時、本部に訊かれたので事実を伝えざるを得なかったと明かす。フイジュは本部の指令に従わないことができないのだ。
8.22日3時間6分前。ヴェロニカから私あてのメッセージがあり、誰かと話したいという内容だが、こちらから話すことはできない。
9.18日21時間58分前。フイジュが減速用エンジンを停止したのに気づく。本社の指示だという。コースの変更もできない。このままではヴェロニカの船と衝突し破壊することになる。フイジュは、私からの指令で本部の指令を書き換えることができないという。私はその言外の意味を酌み、何とか本部の指令を潜脱する方法を見つけ出して実行しなくてはならない。
10.5日13時間9分前。私は倉庫のカメラを無効化して作業する。フイジュからの情報で3つの暗号化モジュールを除去する。フイジュは無線メッセージを送信できなくなる。本社広報の新たなメッセージでは、私の船がヴェロニカの船を破壊しようとしているのが非常に残念だと発表している。完全に嘘だ。私が会社の意向に反してヴェロニカを抹殺したというストーリーをでっちあげ、私を悪者にして世論の会社への批判をかわし、同時に無重力出産を阻止しようとする卑劣なやり方だ。だから近くにいるわけでない私をわざと選んだのだ。私は船のコントロールを私に委ねろとフイジュに言うが、無理だと断られる。
11.2日5時間12分前。フイジュのコントロールを回避するため、船外からプロパルジョンを手動コントロールしようというたくらみを、フイジュに見破られる。手動式のコントロールアダプタを、フイジュに作らせることはできないが、フイジュが指令に反しない限度で提供できる情報を使って、自分の手で作ることはできそうだ。ボタンも手動で押すしかない。ヴェロニカからの新しい一般向けメッセージが入り、再生される。ヴェロニカは既に出産しており、早産の男児をカメラにかざす。このビデオは既に太陽系中に流れているだろう。さすがに会社ももう阻止を断念するのではないか。だが、ヴェロニカから私あてのメッセージが次に再生される。ヴェロニカは無重力妊娠のため、闇市場の違法ナノメドを使っているので、出産に伴う失血を止められずにいるという。ヴェロニカは、二日以内にきて、赤ん坊を助けてほしいと頼む。だが、フイジュによると、ヴェロニカの船とランデヴーするには減速が間に合わないから、一度通過してから戻るか、追いつかれるのを待つしかなく、5日2時間19分かかるという。私は別の手段を思いつく。
12.43分前。私は船外に設置した自作の「ロケットバイク」の弾頭の位置に登り、ヴェロニカの船との接近を待つ。コースはフイジュが変えてくれたから衝突せずに済む。私はアティテュードスラスターの無効化をフイジュに命じ、メインエンジンのコントロールを奪う。これでフイジュは軌道修正できなくなり、内惑星エリアを通って14年後には太陽系外に出ていくという。私は船のエンジンのシャットオフとロケットバイクの切り離しを命じる。時速98キロメートルでヴェロニカの船にぶつかり、エアロックから船内に入る。26時間で到着したもののヴェロニカはすでに死んでいた。だが赤ん坊は生きていた。
13.1時間19分後。ヴェロニカの遺体に、メッセージに返信しなかったことを謝罪し、赤ん坊をカメラにかざす。自分の名と赤ん坊の名を告げる。すべては太陽系中に放送されている。もう会社は無重力出産合法化の流れを止められないだろう。赤ん坊の泣き声は力強く、きっと困難な人生を生き抜いていけると私は確信した。
引用:
地球及びチンシャン宇宙ステーション上の数百万人と同様、私は毎日、ヴェロニカ・ペレスを見ていましたが、ほかの観客たちと違って、彼女の物語がどういう結末を迎えるかをすでに知っていました。彼女は私を嫌っていましたし、私も彼女の行いを憎んでいましたが、どうやってそれが始まったのかには興味がありました。新聞社の犬どもはとっくに彼女の過去を微に入り細に入り、13歳の時の初めての彼氏から、わずか15年後の生物学の博士論文まで穿り出していましたが、何一つ彼女の本当の人物像を明らかにしてはいません。
・・・
私がちょうどカメラを切ろうとした時、エルネストが身もだえして泣き始めました。私は止めませんでした。泣きたいことが沢山あるのです。彼の短い人生はすでに困難をきたし、今後も悪化するだけでしょうが、その泣き声を聴くうちに、彼は大丈夫だとわかりました。母親と同じく、彼は力強い声を持っていました。

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